だからってなんだよー 私は負けない
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7月に入った頃も、それは続いていた。雨の日もあったけど、レインコートを着て、採集していたのだ。送る都度、不良として1割位がはじかれていて、先生からは、その画像を見せられていた。そして、受領書も引かれた内容のもの。
普段は、先生と約束したので、私は授業の予習復習も真面目にやっていて、数学も解けなかった問題を繰り返しやっていたのだ。もう直ぐ、期末テストも近い。
そして、お母さんに
「あのね 私 今 山に入って、いろんな葉っぱを採ってきて、大阪のほうに送って売っているの」
「葉っぱ? ? ? ? そんなもの売れるの?」
「うん お料理の飾りに使うんだって」
「あぁー だから 先生と山に行ってるんかぁー 先生の入れ知恵?」
「入れ知恵ってぇー 悪いことじゃぁ無いよー 私にも ウチのお金の足しになるんじゃぁないかと・・・ これからも、私にお金かかるでしょ でも ちゃんと勉強もやってるよー 先生と約束したの それが条件だって」
「そう やっぱり あの先生なのね・・・すぐり あのね お母さん一生懸命働いているでしょ そらぁー 贅沢もさせられないで貧乏なのは すぐりには 悪いと思っているわよ でも そんなに不自由はさせてないつもりよ そんなことする必要あるの? 山の中って、熊も出るかもよ」
「うん 私も べつに不満があるわけじゃぁないの でも 私 こんなことできるんだぁーって 挑戦したいのよー お母さん お願い 見過ごしていて・・・」
「・・・お金になっているの?」
「うん 6月の売り上げは25000円ぐらい でも、送料とか資材費もあるから残りは20000円くらいかなー 8月になるともっと増えるよ」
「ちょっとぉー すぐり・・・2万ってぇー・・・そのお金どうしたの?」
「うん 夏休みになったら、郵便局で私の口座作るから、そこに振り込んでくれるの」
「あっ 郵便局は駄目 お母さんがね すぐりの為に、毎月 2万円ずつ積み立てしてるの すぐり名義で 二つ口座は無理なん違うかしら・・・」
「お母さん そんなのしてくれていたんだ 私の為に・・・ 口座のことは先生と相談するわー」
「すぐり そんなに先生って・・・ 学校の先生なんだから、ご迷惑をかけるかも知れないし・・・そんなに すぐり・・・信頼して大丈夫?」
「うん 迷惑を掛けないよーにするし 騙すような悪い人じゃぁないと思う 私 信じているの」
「まぁ とりあえず 話はわかったわ すぐりがやりたいって言うんだからいいんじゃぁない お母さんは何にも言えないわ」
― ― ― ☆ ☆ ☆ ― ― ―
期末テストが終わって、先生に聞くと、私はクラスで2番だったということだった。1番は 高井勝秀 ぎょうぎょうしい名前だが、歯医者さんの次男坊。すでに、クラスの女の子から憧れの的なのだ。
「先生 ごめんなさい 約束 果たせなかった」
「・・・うん 駄目だったカナ 反省しろ! 理科のテスト 葉緑素 すぐり君は縁って書いていたんだ バツにしなきゃぁしょーがないだろう? それに、数学 4人の中で誰が一番多くお金を持っているでしょうって問題なのに 君は130円って書いていたんだ それは、一郎君が持っていた一番多かったお金だろう? この二つのつまらない間違いで マイナス8点だよ それが無ければトップだったんだ それよりも 僕が我慢ならないのは 数学 君は93点 だけど隣りのクラスの志津川ひかるさんは100点だよ 数学は僕が教えているよねー 言いたいことはわかるよねー」
「・・・先生 ・・・次は頑張ります ・・・先生 性格的にねちっこいとこあるの?」
「・・・まぁ 君にだから だよ」
「それは・・・私に 特別ってこと?」
「う~ん そーなるかなー」
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