だからってなんだよー 私は負けない
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2-5
次の日の朝 二人は時間通りに落ち合って、目的の場所に向かった。
「先生 それっ ジョギングの恰好ヤン」
「ああ 誰かに会った時、不思議がられないよーにな ジョギングの途中」と、今日はバッグでなくてリュックを背負っていた。
「誰かに見られたら まずいの?」
「ああ まして、女の子の生徒と歩いてたなんてな この恰好なら ジョギングの途中に たまたまですって 言い訳出来るからな」
「言い訳かぁー 先生って 大変なんだねー」
私がいつも仕掛けている場所に着いて、笹薮をかき分けて、岩場に出て靴を脱ぎながら
「先生 そんな長いの 濡れちゃうよ」
「大丈夫 下は短いジャージだから」と、ズボンを脱ぐと確かに短いのだった。
私が、小枝で仕掛けの出口を囲って、そこに浸かってしばらく待っていると何匹かが迷い込んできた。側に先生も立って居た。
「まだね しばらく 泳がせておくの 今 捕まえると他の魚が警戒して 入って来なくなるの」と、小声で先生にレクチャーしていた。先生もわかったのか 声も押し殺して頷くだけだった。
そして、頃合いを見計らって、私は両手を沈めて・・・立て続けに2匹 ゲットして手製のザル籠に入れて。だけど、他の魚が入り口から出ていったのも居るので、今度は先生と交代して、また しばらく待ったのだ。鳥の声も聞こえなく、シーンとして水の流れる音だけが聞こえてくる。
私は、先生の顔だけをずぅっ~と見詰めていて、先生は辺りを観回していたが、私に気づくと、そこで顔を止めて見詰め返してくれた。しばらく、見詰め合っていて、私が 突然 変顔をすると・・・吹き出したようになって、それでも口を押さえて声が出ないようにしていたのだ。
その後、私の合図で先生は両手を沈めて魚を追ったのだけど、逃げられるばっかーで捕まえられないのだ。
「だめだ 難しい」
「そらぁー 初めてなんだからー しばらく 待って もう一度 挑戦ね 相手も必死なんだらー こっちは魚の気持ちになんなきゃー」
そして、先生は・・・石の隅に追い込んで何とか1匹捕まえていた。ザル籠に入れた後、先生は喜んでいて、二人でハイタッチをしていたのだ。私 嬉しかった まるで 恋人同士みたいな この瞬間。
「だってよー こんなの初めてなんだよ 嬉しいに決まってるじゃぁーないか この感動いいなぁー!」
「ふふっ 先生 子供みたい」
その後、私が2匹捕まえて、もう 一度 先生が挑戦していて、1匹 ゲットしていた。私が、家に帰って焼いて食べようよと誘ったのだ。
竈に薪を入れて、焼きながら2匹ずつ食べていて
「ねぇ 先生って 彼女居ないの?」
「そう 特定の人はね 大学の時のグループで何人か親しい女の人は居るけどなー」
「そーなん 特定の人は居ないのねっ!」
「なんだよー その念押しは・・・」
だから、私 また 先生の顔をじぃーっと見詰めていて、先生の顔がこっち向いて、顔が合った時 私は チュッと する振りしたら
「よせよー からかうのは・・・ すぐり・・君」
「その 君ってなんなのよ 変!」
「でも ちゃんも 馴れ馴れしいし さんでも 固すぎるよーな その間だ」
「ふ~ん だから 君なの・・・? 私 すぐりって呼び捨てで呼ばれるほうがいいなぁー 俺の女って感じがして」
「そっ そんなのー お母さんに叱られるよー」
「あっ 叱られなきゃー いいの?」
「いや そのー 誰かの女って・・・早すぎるだろう 君には・・・まだ これから・・・」
「チェッ いい雰囲気かなって思ったのにぃー 先生って真面目なんだよねー そーいうとこ 私 好きなんだぁー あっ そうだ これ 1匹 大家さんのとこに持って行く 焼き立て! 先生も一緒に来てヨー あいつ 怪しいからー」
「怪しい???」
「うん エロ爺なんだ 多分 先生も一緒に山に行ったんだからぁー 一度 挨拶」
「なるほどー そーだな これから お世話になるかも知れないしなー」
― ― ― ☆ ☆ ☆ ― ― ―
「庄爺 居る? イワナ焼いたから 持ってきたよ」
「おー すまんのー 焼き立てかい?」
「うん 今 焼いたの あのさー 骨 大丈夫? ほぐそうか?」
「そーだな 頼めるかい? ありがたい」
「わかったぁー あのね この人 学校の先生 昨日 一緒に登ったの 色んな葉っぱ集めたいんだってー」
「ほっ 葉っぱをなぁー 先生がねー 世の中には理解できんことがあるのぉー」と、私のほぐした身を食べながら、ぶつぶつと言っていた。その間に、私は縁側に女物のレースで飾られたような下着が干してあるのを見てしまったのだ。やっぱり・・・。
「うん うまい ほこほこでなー すぐりちゃんは 親切で良い子だのぉー お母さんゆずりで美人でいい娘になってきたのー」
「うん 骨は持って帰るね 庭に埋めとくからー じゃぁね」と、さっさっと帰ってきた。
「ねっ なんか 言い方 やーらしいでしょ? 私はすかん!」
「そーかなー 普通だと思うけどー すぐり君のこと褒めてたじゃぁないか」
「・・・だからぁー・・・ 先生には 複雑な事情わかんないの! 私の気持ちも・・・」
「なに プンプンしてるのか 僕には理解出来ない」
「まぁ それとは別に こーやっておくと 山に好きなように入らせてくれるからね!」
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