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仮面ライダーコウガ〜A NEW AGE HERO〜

作者:紡ぐ風
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EPISODE.03 跳躍

 レジェンド活動拠点
 -2月5日AM10:07-
 「どうだ、書類作成は順調か?」
 「はい!櫛田さんが教えてくれたおかげで、順調です。」
 御礼は櫛田の質問に元気よく答える。
 「俺はただ、作業工程を説明しただけだ。それを使いこなしているのは紛れもなく御礼だ。」
 櫛田は一言言うと、缶コーヒーに口をつける。
 「櫛田さん、なんだかんだで面倒見がいいですよね。」
 「たしかに、最初は民間人なんて〜って言っていたのが嘘みたいですよね。」
 檜木と菊池はひそひそ話をしているが、櫛田はすぐに缶コーヒーをデスクに置く。
 「作業の効率化を図るために適切な指導を行うのは、どの職種でも行われていることではないですか?」
 櫛田はムキになって話す。そんなレジェンドの日常の裏側で、すでにグロンギが活動していることに気がつくのは、翌日のことになるのだった。

 グロンギ日本アジト
 -2月5日PM10:42-
 「ブログがゲームを開始してから2日が経過しているが、進捗はどうだ?」
 ゴーラは欠伸をしながらレジアに尋ねる。
 「まだ二人だけだけれども、狩り場がキャンプ場ということもあって、明日からが本番みたいね。」
 レジアは進捗具合を話す。
 「しかし、『一週間で蒲々原(がまがまはら)キャンプ場の川で自分を釣り上げた15人』とは、なかなか面白い企画を考えたじゃないか。」
 ゴーラは楽しそうに語る。
 「確かに、数は少ないものの、ここまで独特な条件を指定するのは珍しい。ゴを狙うだけのことはある、といったところかしら。」
 レジアはゲームの進捗を引き続き追うのだった。

 蒲々原キャンプ場
 -2月6日PM7:35-
 「さて、そろそろ鮎でも調達するか。」
 宿泊客の男性は受付でレンタルした釣り竿を持って川に糸を垂らす。すると、すぐに何かが食いつく。
 「おっ、今日は幸先が良いな!」
 男性は川釣りに慣れているようで、手際よく引き上げるが、釣り上げたそれは明らかに魚ではなく、カエルのような姿をしたグロンギの怪人、ズ・ブログ・レであり、釣り上げられたブログは長い舌を伸ばして男性を捕らえ、丸呑みにするとしばらくした後に骨と衣類を吐き出す。
 「よし、また一人追加!」
 ブログはレインポンチョを着た二十歳前後の男性の姿に戻ると、はしゃぎながら森の中へ消えていった。

 レジェンド活動拠点
 -2月7日AM8:35-
 「昨日連絡があり、蒲々原キャンプ場で死後1日程度の白骨死体が三体ほど発見された。」
 城ヶ崎は資料を配る。
 「本来、白骨化するならどれだけ土壌が良くても半月は要する。ということは…」
 菊池は状況からグロンギ犯罪だと断定する。
 「というわけで、こちらで調査することになった。櫛田、御礼、早速だがこのキャンプ場へ行って調査してくれ。それと、現場検証が終わっていないから触らないように。」
 城ヶ崎は指示を出し、櫛田は覆面パトカーで、御礼は自家用バイクでキャンプ場へ向かった。

 蒲々原キャンプ場
 −AM11:48−
 御礼達が到着し事件現場へ向かうと、現在も現場検証のため立ち入りが禁止されていた。
 「お疲れさまです。レジェンドの櫛田と御礼です。」
 櫛田は挨拶を済ませ、御礼も後を追う。
 「この骨を見てください。自然に分解されたというより、何かで溶かされた形跡が残っているんです。」
 検証班が櫛田に説明していると、櫛田はあることに気がつく。
 「待ってください。釣具が付近にあることから、この被害者達は、全員川釣りの最中でグロンギに襲われているみたいです。もしかすれば、こちらも川釣りをしていればおびき出せるかもしれません。となれば、こちらの方で囮役をやらせてもらいます。」
 櫛田は、グロンギをおびき出すために行動を開始した。
 「それにしても、釣具だけでよく気が付きましたね。」
 御礼は櫛田に話しかける。
 「今は釣りの最中です。静かにしていてください。」
 櫛田は淡々と言う。すると、櫛田の竿に獲物が引っかかる。それを察した御礼はアークルレジェンドを出現させる。
 「どうだ!」
 櫛田が竿を力強く引き上げると、竿に引っかかったブログがいた。
 「変身!」
 “コウガ!マイティ!”
 御礼はコウガに変身し、舌を伸ばしたブログから櫛田を突き飛ばしてかばい、そのまま舌を掴んで投げ飛ばす。
 「ガサパセダバ、コウガ(現れたな、コウガ)!」
 木に激突したブログは立ち上がると、コウガに背中を向ける。
 「ゴラゲビバラデデギスジラパバギ(お前に構っている暇はない)!」
 ブログはそのまま跳躍力を活かしてジャンプしながら逃亡を図る。
 「待て!」
 コウガは近くに停めておいた自家用バイクに触れる。すると、バイクは一瞬のうちにクワガタの意匠が施されたスマートなデザインのマシン、トライストライカーに変化し、コウガは乗り込んで追跡を開始する。
 「待て!」
 コウガは走破性の悪い山道をなんとか駆け上ろうとするが、思い通りの運転が行えず苦戦する。
 「言われて待つバカがいるかよ!」
 ブログはそのまま飛び跳ねながら距離を離し、コウガはそれに追いつくことができずに逃亡を許してしまう。
 「くっ!」
 御礼は変身を解除し、トライストライカーも本来の自家用バイクに戻る。
 「逃げられたか。御礼、一度戻って対策を練った方がいい。地の利は奴の方に分がある。このまま追いかけても同じことの繰り返しだ。」
 櫛田は御礼を呼び止め、一度レジェンドの拠点へ戻った。

 レジェンド活動拠点
 -PM2:18-
 「なるほど、カエル型のグロンギで、被害者は丸呑みにされて溶かされていたと。それなら、白骨化するのも頷けます。基本的に胃液は骨や化学繊維などは分解できない構造になっています。グロンギはそれを吐き出して、次の標的を探していたわけですか。」
 菊池は状況を整理する。
 「ところで、檜木さんは何方へ?」
 櫛田は檜木が不在であることに気づき、城ヶ崎に尋ねる。
 「檜木さんは今回のグロンギの特性を伝えたらすぐにラボに向かった。なんでも、一両日中に対策になるものを作るとのことだ。」
 城ヶ崎は櫛田の質問に答える。
 「そうですか。とにかく、キャンプ場への立ち入りは禁止するよう手配は済ませてあります。」
 「櫛田は相変わらずそういった連携がうまいな。さて、御礼君、ちょっと来てもらえるか?」
 城ヶ崎は御礼を呼び、屋上まで連れて行く。
 「御礼君、上手くいかなくて残念だったね。」
 「はい、正直悔しいです。櫛田さんがキャンプ場を立ち入り禁止にしましたけれど、無視して侵入する人もいるかも知れません。そうなれば、被害者は増える一方です。もし、クウガみたいに戦い方を変えられれば…」
 御礼は強く拳を握りしめる。
 「檜木さんは、そのためにラボに向かったんだ。」
 「どういうことですか?」
 城ヶ崎の言葉に御礼は食いつく。
 「御礼君のアークルレジェンドには、まだ拡張性が残っているんだ。檜木さんは、その拡張性を広げるために頑張っている。御礼君も、期待に答えられるよう、頑張るんだ。」
 「はい!」
 城ヶ崎は御礼に檄を飛ばし、御礼はそれに答えた。

 グロンギ日本アジト
 -PM8:36-
 「警察が動いているようだが、ゲームの続行はできるのか?」
 ブログはレジアに睨まれる。
 「奴らは馬鹿の一つ覚えみたいに一度覚えた作戦を何度もこすり続ける。逆に利用してコウガをこの手で殺ってやる!やつの力も十分に解ったからな!」
 ブログは得意げな顔を見せる。
 「ここでコウガを倒せなかったら、解っているな?」
 レジアは冷たい声で言う。
 「コウガに倒されるか、ゲーム失敗の罰則で死ぬか、どの道逃げ場がないなら、コウガの一本釣りに賭けるしか道はない。」
 「よく解っているようだな。」
 レジアの言葉を聞き、ブログはアジトを後にした。

 レジェンド活動拠点
 -2月8日AM8:35-
 御礼がデスクから立ち上がり蒲々原キャンプ場へ向かおうとすると、檜木が駆け寄る。
 「御礼君、これを。」
 檜木は何かを御礼に差し出し、御礼はそれを受け取る。それは、人差し指程度の細長さの、青い弾丸のようなものだった。
 「檜木さん、これは?」
 「それはドラゴンバレッド。アークルレジェンドの上の方に、それと同じ長さの突起があるでしょ?そこにそれをセットして、変身するときと同じようにスイッチを押せば、スピードとジャンプ力に特化した力を発揮できるわ。」
 檜木は説明する。
 「これが、昨日城ヶ崎さんが言っていた対抗策。檜木さん、ありがとうございます!」
 御礼はドラゴンバレッドをポケットに仕舞って蒲々原キャンプ場へ向かった。

 蒲々原キャンプ場
 -AM10:24-
 (来い、コウガ。今度こそ丸呑みにしてやる。)
 既に怪人態に変身したブログは川の中に身を潜めている。すると、疑似餌のついた釣り糸が投げ込まれる。
 (来たか!)
 ブログはそれに食いつき、引き上げられる。
 「変身!」
 “イエローニュートラルパワー!コウガ!マイティ!”
 ブログを釣り上げた御礼はすぐさまコウガに変身し、ブログの舌を避ける。
 「ゴギゴギ、バンゾジャデデロゴバジザゾ(おいおい、何度やっても同じだぞ)?」
 ブログは呆れるように言い、コウガの周囲を飛び跳ねる。
 「やっぱりちょこまかと動くか。それなら!」
 コウガはアークルレジェンド上部の細長い蓋を開き、ドラゴンバレッドを収める。すると、アークルレジェンド中央の光が黄色から青に変わる。
 「変身!」
 コウガはアークルレジェンドの左にあるスイッチを押す。
 “ブルーラピッドパワー!コウガ!ドラゴン!”
 コウガの装甲はたちまち簡略化され、ブルーメタリックに輝く軽装な装甲のドラゴンフォームへ変身する。
 「グガダグバパデデロゴバジボドザ(姿が変わっても同じことだ)!」
 ブログは飛び跳ねて移動し距離を取ろうとするが、コウガは素早く動き、ブログの移動先に先回りする。
 「何っ!?」
 ブログは驚きを隠せず、立ち止まってしまう。
 「はぁっ!」
 コウガはそのまま拳を放つが、ブログはびくともしなかった。
 「ゴンデギゾバ(その程度か)?」
 ブログは笑いながらコウガの腕を掴み投げ飛ばす。そのままコウガは川へ落下する。コウガは立ち上がろうとするがその時、川を流れる身の丈ほどの木の枝を見つける。
 (もしかしたら!)
 コウガは木の枝を掴んで立ち上がる。すると、木の枝はたちまち両端に宝珠を掴む龍の足が象られた棒状の武器、ドラゴンロッドへ変化する。
 「よし!これなら行ける!」
 コウガはブログに素早く近づき、ドラゴンロッドの突きをお見舞いする。
 「ぐっ!」
 ドラゴンロッドが腹部に直撃したブログはうめき声を上げる。
 「これで終わらせる!」
 コウガは素早く動きドラゴンロッドを何度にも渡って素早く叩きつける必殺技、スプラッシュドラゴンをブログに放ち、遂にブログのゲブルコアが砕け散り、
 「…コウガァァァッ!」
 ブログは断末魔を上げて爆散し、事件は解決したのだった。
 つづく

 次回EPISODE.04 剛健 
 

 
後書き
 ライダー図鑑
 仮面ライダーコウガ ドラゴンフォーム
 身長:200cm
 体重:91kg
 パンチ力:1t
 キック力:2t
 ジャンプ力:ひと跳び130m
 走力:100を2秒
 コウガがアークルレジェンドにドラゴンバレッドをセットしてフォームチェンジした姿。装甲自体が軽装となりジャンプ力と走力が大きく向上するが、その分攻撃と防御が最低限のものになってしまう欠点も併せ持ち、それを補うために棒状の物体を物質変換能力(モーフィングパワー)で専用武器のドラゴンロッドに変化させる。必殺技は高速移動をしながら何度もドラゴンロッドを打ち据えるスプラッシュドラゴン。

 怪人図鑑
 ズ・ブログ・レ
 身長:205cm
 体重:98kg
 能力:長い舌、人間一人を丸呑みにできる巨大な胃袋、強酸性の胃液、高いジャンプ力
 カエルの能力を持つグロンギ怪人で人間態は常にレインコートを羽織った男性。蒲々原キャンプ場で自身を釣り上げた15人を殺すゲームを行うが、早い段階でレジェンドに捜査され、コウガを倒して一気に昇格するプランへ変更した。また、ジャンプ力にも優れ、狭い空間でも縦横無尽に動き回れる軽快さもあり、それを戦闘に活かす。 
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