スパイの家族
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第一章
スパイの家族
シャルル=デュトワは情報部に勤務している、くすんだ金髪をセットしていて面長の彫のある顔にブルーグレーの目とすらりとした長身が印象的だ。階級は少佐で士官学校を卒業してからずっと情報部で働いている。
当然国家の機密を扱う仕事をしているので仕事の内容は秘密だ、いつも鉄面皮で仕事をしていて士官学校の同期からもだ。
「学生時代とは違うな」
「ああ、無口になった」
「表情もなくなった」
「機械みたいになった」
「やっぱり情報部だからな」
「秘密を洩らさない様にしてな
「ああなったんだな」
こう話した、兎角だ。
彼は無表情で無口でまるで機械の様であった、それでだった、
家庭、結婚して子供もいると言われても誰もが信じられず言うのだった。
「少佐が結婚しているとか」
「確かにいつも定時出勤、定時帰宅にしても」
「想像出来ないな」
「結婚していることすら信じられない」
「家庭の匂いが一歳しないのに」
「それで仮定があるとか」
「嘘だろ」
こう言うのだった。
兎角彼は機械の様でスパイらしく感情を出さず黙々と仕事をした。前線では働かずダブルオー要員ででもなければ敵国に潜入したりもしなかったがやはりスパイではあった。
その彼のプライベートは一切謎だった、何故なら。
誰も想像出来ない、誰も呼ばないからだ。家族はごく普通の主婦と娘であったがそれでもであった。
「一体どんな生活か」
「本当に想像出来ないな」
「家で何しているんだ」
「家族とどう接しているんだ」
「機械みたいなのか、家でも」
こう言うのだった、周りは。
そんな彼のプライベードは謎だった、しかし。
彼は家に帰るとだ、いつもだった。
「只今」
「おかえりなさい、あなた」
「パパおかえり」
妻のマリー、娘のフランソワーズは自宅のマンションの一室に帰って来た彼に明るい笑顔で応えた。二人共栗色の癖のある長い髪の毛で目は青だ。大きな二重の目で唇は赤く二人共顔立ちは整い妻のスタイルはかなりいい。
二人は笑顔で彼を迎えそうして言った。
「最初は何をするの?」
「ご飯?お風呂?」
「お風呂にするよ」
優しい笑顔での返事だった。
「そしてそれからね」
「ご飯ね」
「そしてそれが終わったら」
娘を見て言った。
「一緒に遊ぼうか」
「うん、何して遊ぶの?」
「新しいボードゲーム買ってきたからな」
娘にも優しい笑顔で話す。
「それで遊ぼうか」
「うん、一緒に遊ぼう」
「その後で絵本を読むからな」
満面の笑顔での言葉だった。
彼は一家団欒に入った、風呂で身体を清め疲れを癒すと妻が作ってくれた夕食を三人で楽しんでだった。
娘とボードゲームをして絵本を読んで寝かせてだ。妻に寝る前のワインを飲みつつこんな話をした。
「フランソワーズは今日も元気だったね」
「とてもね」
「そして奥さんも」
「ええ、私もね」
「二人がいつも元気で笑顔なら」
それならというのだ。
「僕はそれでだよ」
「幸せね」
「そうだよ」
こう言うのだった。
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