サイレントナイト
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第二章
「多分俺も」
「ああ、お前騒ぐタチじゃないからな」
だからだとだ、鹿野は稲垣に言った。
「だからな」
「それでかな」
「尚更静かだな」
「そうなるな、まあ静かならいいか」
「騒がしくて寝られないよりいいだろ」
「ずっとな」
稲垣もその通りだと答えた。
「それは」
「そうだろ、だったらな」
「それならか」
「この静かさに感謝してな」
そうしてというのだ。
「よく寝ような」
「そうするな」
稲垣もそれならと応えた、そうしてだった。
この日は二人はそこで別れそれぞれの家に帰った、そして次の日職場で一緒に仕事をしたのだった。
だが十月だ、秋祭りの時になると。
「凄いな」
「この時はこうなんだ」
稲垣は自宅に鹿野を呼んで彼と一緒に水炊きを食べつつ言った。
「賑やかなんだよ」
「祭りでか」
「夜もね」
「そうなるんだな」
「お店も多かったね」
「出店な」
鹿野は稲垣に言われここに来るまでに見たものから答えた。
「凄かったな」
「お祭りの時はこうなんだ」
「昼でも賑やかか」
「そうなんだ」
こう言うのだった。
「これが」
「成程な」
「それでこうした日は」
水炊きの鶏肉を食べつつ話した。
「こうして」
「飲むんだな」
「出来たら人を呼んで」
そうしてというのだ。
「俺も賑やかにするよ」
「そうなんだな」
「一人なら」
その時のことも話した。
「出店のもの買ってな」
「それを肴に飲むんだな」
「ああ」
焼酎を飲みつつ話した。
「こうしてな」
「そうなんだな」
「じゃあ今夜はな」
「飲むか」
「付き合うか?」
「だから来てるんだよ」
これが鹿野の返事だった。
「いいな、それじゃあな」
「ああ、飲んで食ってな」
「そうしてな」
笑顔で話してだった。
二人で飲んで食べた、鹿野はこの日は稲垣の家で泊った。朝起きるともう静かになっていた。そして二人で出勤したのだった。
サイレントナイト 完
2024・11・12
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