グリーンアイズ
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第一章
グリーンアイズ
草薙千夏、長い黒髪を後ろで束ね面長できりっとした吊り目が目立つ顔立ちに一六七位の背で脚が長く胸が大きい彼女にだ。
大学で友人となったガブリエラ=チカゴーロ縮れた黒髪に褐色の肌に黒い目を持つ長身の彼女は笑って言った。
「貴女は緑の目を持っているわね」
「いや、持ってないわよ」
千夏はガブリエラに笑って返した、通っている大学の食堂で昼食を向かい合って食べながら話している。
「私目は黒いから」
「違うわよ、自然を好きでね」
ガブリエラは日本に来て好物となったカツカレーを食べつつ応えた。
「植物好きでしょ」
「だからなの」
「ええ、お互い生物学を学んでいるけれど」
通っている大学は八条大学である、世界屈指のマンモス大学として知られている。
「植物も好きでしょ」
「自然自体がね」
「だからね」
それでというのだ。
「緑の目をって言ったのよ」
「そうなのね」
「そうよ、緑イコールね」
「自然ね」
「そういうことよ、そして自然を大切に思ってるでしょ」
「好きだし」
千夏はハヤシライスを食べつつ応えた、カレーも好きだがこちらもなのだ。
「自然、環境を大切にしないと」
「いけないわね」
「ええ」
まさにというのだ。
「そう考えているから」
「だからよ」
「私は緑の目なのね」
「いい目よ」
微笑んでだ、ガブリエラは千夏に告げた。
「とてもね」
「そう言ってくれると嬉しいわ、ただね」
「ただ?」
「私は別にね」
「別に?」
「そう、善意じゃないわよ」
こう言うのだった。
「自然を大事にすることについては」
「そうなの」
「だって自然がないと」
さもないと、というのだ。
「環境破壊なんかしたら私達の暮らしがね」
「成り立たなくなるっていうのね」
「そうでしょ」
「ええ、そうよ」
ガブリエラはその通りだと答えた。
「それはね」
「自分が普通に暮らしたいならね」
「環境を守ることね」
「そう、結局はね」
「自分がどうかなのね」
「それでね」
千夏はさらに言った。
「それがわからないなら」
「それならなの」
「もうね」
それこそというのだ。
「どうにもならないでしょ」
「ええ、それはね」
ガブリエラも確かにと答えた。
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