アリスマエストロ
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第一章
アリスマエストロ
アリスはまた不思議の国に来ました、兎を追いかけてですがその兎に不思議の国に入ったところで言われました。
「お嬢ちゃんまた来たね」
「ええ、これで何度目かしら」
「さてね、私達もすっかり顔馴染みになったよ」
「お友達ね」
「芋虫さんやチェシャ猫さんやハンプティダンプティさんともね」
「ドードー鳥ともだね」
兎も言います。
「そうなっているね」
「そして王様女王様とも」
「そうだね、それでね」
「それで?」
「今日はコンサートがあるんだ」
兎はアリスにさらに言いました。
「王宮でね」
「あら、そうなの」
「そうだよ、来るかい?」
「どういったコンサートかしら」
アリスは兎にそのことを尋ねました。
「それで」
「クラシックだよ」
兎はすぐに答えました、王宮絵の道を一緒に歩きながら。
「オーケストラのね」
「そうなのね」
「クラシックは好きかい?」
「一度聴いたことがあるわ」
アリスは正直に答えました。
「お父さんとお母さんにコンサートに連れて行ってもらってね」
「それは何よりだ」
兎はアリスの返事を聞いて笑顔で頷きました。
「一度でも全く聴いたことがないのとじゃ全然違う」
「そんなものなの」
「そんなものだよ、では行こう」
「コンサートを聴きに行くのね」
「これからね」
一緒に並んで歩くアリスに告げてでした。
兎は少女に今回のオーケストラのお話を延々としました、それは王宮の管弦楽団による演奏とのことでした。
そして王様と女王様にもです、アリスはそう言われましたが。
ふとです、王様はこんなことを言いました。
「衣装はどうしようか」
「そうね、正式な場になるし」
女王様も言いました。
「いつもドレスではね」
「どうかな」
「ここは上等のドレスを出しましょう」
「そしてアリスに来てもらおう」
こう言うのでした。
「そうしてもらおう」
「王室の行事だし」
「あの、私は別に」
アリスはこれといってというお顔でお二人に言いました。
「今の服で」
「いやいや、そうはいかないよ」
「公の行事に出席するのよ」
「そうした時は礼装がいいものだよ」
「私達に任せなさい」
「そう言われるなら」
アリスもそれならと頷きました、そうしてでした。
青い普段とは違うシルクのとても奇麗なドレスを出してもらってそれを着ました、そのドレス姿を鏡で確認してです。
ドレスは唸ってです、こう言いました。
「こんなドレスを着たのははじめてよ」
「そうなのかい?」
「ええ、貴方はいつも正装だけれど」
ハンプティダンプティに答えました。
「私はいつもはあの服だから」
「そうした礼装はだね」
「着たことがなかったのよ」
「そうなんだね」
「だから斬新な気持ちよ」
「しかしこれも経験だよ」
芋虫は水パイプを楽しみつつ告げました。
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