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光翼人の大陸

作者:未鷺
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第1章 調査
  到来

1642年 第二文明圏南方の海域

第二文明圏の南方に広がる大海原。
その上空の空間そのものに突如として亀裂が走り始める。
その中から出てきた直径400m、全高45mのリング状の物体とその3箇所から伸びた柱状の部位、そしてそれによって接続された柱状の中央部によって構成される白い物体は旧世界観測庁が建造した1号型空中調査船である。
魔素を帯びた粒子を撃ち出す5cm連装魔光投射砲3基6門、分発6000発の魔光弾を発射する轟連式対空魔光砲発展型18基、誘導魔光弾18発を搭載する大型船は回転しながらゆっくりと空中に浮かび上がる亀裂を抜け海上に進んでいく。

「旧世界、到達。」
「僕の星との通信を確認。」
「魔帝復活ビーコンも確認しました。」

船橋内では10人の光翼人達がディスプレイに表示された情報を順に読み上げていく。
高度な魔法技術によって自動化された結果10人と船長を含めた11人が1号型空中調査船の全ての乗員となっている。

最後の1人の報告を聞き終えた1号型空中調査船1番船の船長、ジェゴフ1等観測官は口を開いた。
「僕の星がこれまでに撮影してきた魔写の情報を分析によるとミリシエント大陸の南部に複数の文明の船舶が向かっている様だ。複数の文明によって会議か演習が行われるのだろう。旧世界の情報を収集する為に本船もそこへ向かう。」
船長の命令に乗員達は
「分かりました。」
と口を揃えて答え反重力魔導エンジンを操作する。

進路を北東に向けて暫くした時ふと、乗員の1名が口を開く。
「それにしても本当に旧世界なんてあったんですね…しかも我々光翼人以外の人種がいるなんて…」
「一応竜人族は首都に住んでたと思うが…そっちも見た事はないしやっぱり驚いたな。」
「ですね。学校では奴隷として扱っていたって聞いたんですけ友好関係を結べるでしょうか…」
「奴隷として扱ってたのは10000年以上前の事だし大丈夫だろう。」

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先進11ヵ国会議の開催地に選ばれた神聖ミリシアル帝国の港町カルトアルパスでは、港湾管理責任者のブロンズ率いる港湾管理者が到着した各国の軍艦を適切に誘導を行う必要がある。
11ヵ国の艦隊全てが到着し、誘導を終えたブロンズは港湾事務所で一息付いていた。
「やっぱりグラ・バルカス帝国の戦艦は凄かったな…仕事が終わったら魔写を撮影しにいくか…」
そんな事を考えているブロンズに部下の1人が問いかける。
「…所長!ブロンズ所長!」
「ん?どうした?」
「国籍不明の飛行艦が到着しました。どうしますか?」
「国籍不明?国旗があるだろう?」
「いや、国旗が掲げられてないです。リングの形の飛行艦で中央部分に伸びる柱?みたいな部分に旧世界観測庁とは書かれてるのですが…」
「飛行艦?ミリシアルかムーの船じゃないのか?まあいぃ。魔信をしてみよう。」
魔信機を使用し近づいているという船に呼びかけを行う。
「こちらカルトアルパス港湾管理局、カルトカルパスへ接近中の飛行艦へ告ぐ。速やかに所属を述べよ。」
ミリシアルかムーの飛行艦なら映像付きの通信でも良いだろうと考え映像が表示される画面を見る。
「こちらヴィシュニール皇国旧世界観測庁所属1号型空中調査船1号機。この世界の調査と各国との国交の締結を目的としている。」
画面に映し出された人物は、背中に光の翼が生えた人物だった。

光翼人である。

相手にバレない様に部下に先進11ヵ国会議の会議場に伝えに行かせた後、話を始める。
「あなたは…光翼人…ですか?」
「如何にも、我々は光翼人だが?」
「カルトアルパスには攻撃しないんですよね…?」
「今その予定はないが…顔色が悪い様だが何かあったのか?」
「いえ…えーと、とりあえず港湾業務艇のご案内に従って停泊してください。」
どんな言葉で逆鱗に触れるかも分からないので出来るだけ丁寧な言葉遣いを心掛けつつもカルトアルパスに停泊している船の中で最も強そうなグラ・バルカス帝国の戦艦の隣に停泊させた。
ブロンズは後は先進11ヵ国会議に参加している外交官に任せれば良いだろうと考え避難の用意を始めた。 
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