お姉ちゃんとしてしっかり
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第二章
「その上の娘もな」
「下の娘が生まれたらな」
「ほったらかしになったわね」
「それでそのことが会社の人に突き止められてな」
「育児放棄で親権放棄させられてな」
「俺達が引き取って」
「二人を養子に迎えて育ててるわ」
二人で洋介に話した。
「私達の娘達よ」
「紛れもなくな」
「あいつ等は親じゃなかったんだな」
洋介は心から思って言った。
「ふわりにとっても妹さん達にとっても」
「ああ、おもちゃだったんだ」
「結局はね」
「だから新しいおもちゃが手に入ったら見向きもしなくなった」
「そうだったのよ」
「そしておもちゃがなくなってな」
「育児放棄から禁治産者に認定されてよ」
ふわり達の親だった輩共の話をさらにした。
「お仕事も何もかもなくなって」
「夫婦でずっと安酒飲む様になってだ」
「挙句アル中で死んでな」
「白骨死体になって発見されたわね」
「そうなったな、自業自得だったよ」
洋介は心から思って言った。
「あいつ等は、けれどふわりはな」
「見ての通りだ」
「いいお姉ちゃんよ」
三人で見た、見ればだった。
ふわりは妹達に自分のおもちゃの一つを咥えて持って来た、そして鳴いた。
「ワン」
「だあ」
「だあだあ」
「おもちゃ貸してるんだな、本当にな」
洋介はその光景を見て話した。
「ふわりはいいお姉ちゃんだな」
「妹達の面堂をしっかり見てな」
「可愛がるね」
「いいお姉ちゃんだな」
「本当にね」
「そうだよな、本物のお姉ちゃんだよ」
そのふわりを見て言った、ふわりは自分のおもちゃで遊ぶ妹達を傍で見ている。その目はとても優しく温かいものだった。
お姉ちゃんとしてしっかり 完
2025・2・22
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