ウィッグの力
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第三章
「いいですね」
「うん、僕も植毛したけれどね」
「剃ってですよ」
そしてというのだ。
「鬘を被れば」
「皆そうしたらね」
「いいですよね」
「そうだね」
部下に笑って話した。
「それで」
「日本もそうすればいいですね」
今のというのだ。
「そうですよね」
「そうだね、そうしたらね」
「もう薄毛とか何とか」
「気にしなくていいよ」
「色々髪形アレンジできますし」
「いいね」
「全くだね」
職場でこうした話をした、そしてだ。
勝也は家で家族にこの話をするとだ、妻も娘も言った。
「いいわね」
「そうよね」
「そうしたらね」
「問題ないわね」
「髪の毛がどうでもね」
「うん、今の日本もそうなれば」
勝也は妻と娘にさらに言った。
「いいかもね」
「そうしたら自由な髪形に出来るし」
「鬘被ったらね」
「いいことよ」
「今の日本でもやったらどうかしら」
「そうだね。そうなれば」
勝也はさらに言った。
「嬉しいよ、けれど今の日本はそうでないし」
「お父さん植毛してね」
「問題は解決したし」
「それでいいよ、ただ植毛したら」
こちらのことも話した。
「お金かかったね」
「それは仕方ないわね」
「何でもお金かかるから」
「それを覚悟でやったし」
植毛をというのだ。
「いいよ、けれどまた抜けたら」
「その時はどうするの?」
「また薄くなったら」
「もういいよ、それでね」
家族に笑顔で言った、そうしてだった。
髪の毛を話を終えて夕食を楽しんだ、この日はもう髪の毛派の話はしなかった。一家の団欒の時を楽しんだのだった。
ウィッグの力 完
2025・2・15
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