八条学園騒動記
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第七百八十六話 海賊の食事その十三
「そうだね」
「貴族ね」
トムは嫌そうに述べた。
「海賊以上にね」
「嫌な連中だね」
「もうとことんね」
「嫌いだよね」
「階級なんて間違ってるよ」
トムは言い切った。
「もうね」
「そうよね」
「人に身分があるなんてね」
「おかしいわ」
三人共トムの言葉にまさにと頷いた。
「そんなものないから」
「実はね」
「人間には」
「役職や立場はあるよ」
トムもそれはと言った。
「社長さんとか大統領とか」
「あるわね」
「そういうのは連合にもあるよ」
「役職とか立場はね」
「けれど社長さんもお仕事を離れたら」
そうなればというのだ。
「もう普通の人だから」
「そうそう、お家でもね」
「家族の一員だよ」
「そうでしかないわ」
「大統領も退任したら」
そうなればというのだ。
「普通の市民だしね」
「そうよ、私達と同じよ」
「皆市民だよ」
「どんな偉い人もね」
「それがだよ」
人間社会はそうしたものであるがというのだ、トムはエウロパの階級についてとても嫌そうな顔で話した。
「真実だよ」
「そう、それでもね」
「エウロパは階級があって」
「貴族がいるのよ」
「貴族って何で偉いのかな」
トムにはわからないことだった。
「そもそも」
「だから貴族だからでしょ」
「階級で上だから」
「それでなんでしょ」
「いや、だから同じ人間だよ」
自分達と変わらないというのだ。
「それでね」
「何で偉いか」
「それはわからないね」
「私達もね」
三人も同じだった、彼等も連合市民なので階級は否定しているのだ。
「人の上に人を作らずでしょ」
「本当に皆市民だよ」
「連合が正しいわよ」
「ローマ法皇だって」
人類社会最大の宗教組織の頂点に立つこの人物もというのだ。
「お仕事を離れたら」
「そう、市民よ」
ペリーヌははっきりと答えた。
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