コントラクト・ガーディアン─Over the World─
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第一部 皇都編
第二十八章―邂逅の果て―#1
傍に控えるカデアが淹れてくれた温かいお茶を一口含んでから、サンルームのソファに深く座り込んで、私は一息ついた。
膝の上にはネロが丸まり、足元にはヴァイスが伏せている。
あの異様なスタンピード殲滅戦から、すでに2週間近く過ぎていた。
例によって魔力の使い過ぎで倒れた私は、2日ほど寝込み───全快した後は事後処理に従事した。
魔物の死体があまりにも多く、すべてを皇都の冒険者ギルドには運び切れなかったため、戦場となった街道を封鎖して、解体を終えたら次のを運び込むという作業を繰り返すしかなかった。
少しして近隣の支部から解体師が応援に駆け付けてくれたので、並行して現地でも解体を行ったものの───それでも、街道から魔物や魔獣の死体をすべて運び出すまで、結構な時間を要した。
私も、事後処理に追われるレド様に付き添い手伝う傍ら───レド様がお邸で報告書などを作成されているときには手伝いはディンド卿とラムルに任せ、解体作業に参加していた。
それと、【転移港】に築かれた集落の撤去作業も早急にしなければならなかった。放っておいたら、また魔物が住み着く。
幸いだったのは、石壁の撤去が簡単に済んだことだ。
丸っこく、無造作に積み上げるだけでは安定しない石を固定していたのは、ただの土で────どうやら、土中の魔素を結合させていたようだった。固定魔法に近く、要は私が商隊を襲った魔獣に対して使った手法と同じだ。
そのことに気づいた翌日、作業する低ランカー冒険者や皇都民が来る前に、結合を解いておいた。
皆、前日は崩すのに苦労した石壁が、来てみたら崩壊していたことに驚いていたけれど────そこまで疑問に感じることなく、大量にある石の撤去に尽力してくれた。
魔獣と黒いオーガが使っていたと思しき荒ら屋には、石を固定していたものと同様の土で造られた寝台とテーブルらしきものがあったが───それ以外は石壁と丸太の屋根で囲っただけの代物だったので、石壁さえ撤去できれば後は造作もなかった。
ようやく収束の目途がついて、今日は久しぶりの休息をとっている。というか────心配したレド様に夕方まで休息をとるよう言い渡され、こうしてサンルームでまったりしている。
レド様は、私には休息をとらせたのに────ご自分はディンド卿とラムルを連れてお出かけになってしまわれた。
「お供したかったな……」
レド様や仲間たちに心配をかけないよう、ちゃんと自分の体調を見ながら動いていたのに。
それに、レナスだけでなく、ラムルとディンド卿もお傍についているとはいえ────やはり、お出かけになるレド様に随行できないのは心許ない。
「坊ちゃまが心配なさるのも当然ですよ。どう見ても、リゼラ様は働き過ぎです」
思わず零れた私の言葉に対して、カデアがやんわりと咎める。
まあ───確かに、普段よりも動き回ってはいたから、周囲にはそう映るかもしれない。
「でも、早いところ後処理を終えないと。まだまだ、やらなければならないことがあるのに────辞令式まで2週間を切ってしまいましたし…。大体、それを言ったらレド様も同じではないですか?ご自分だって休息をとられていないのに…」
「坊ちゃまは、お邸での事務作業も多かったですし、空いた時間にはきちんと休憩されていましたよ。リゼラ様はその間、解体や集落の撤去作業に行かれていたではないですか。通常通りに朝食や昼食の準備もなさって────就寝前には調べ物をされていたのでしょう?これでは誰だって心配にもなりますよ」
「え、私が寝る前に調べ物をしていたって、何で知っているんですか?」
ノルンが言ったのかな。そういえば、私が無理しそうなときはカデアに報告するよう、レド様が命じていた───と思い出す。
「坊ちゃまからお聴きしました」
「………レド様から?」
カデアの答えに、どっと冷や汗が流れる。
つまり────レド様もご存知でいらっしゃる、と?
い、いや────ちょっとノルンに検索してもらっただけで、大量の魔力を使ったわけではないから、レド様が心配されるような無理はしていないし────集中し過ぎて睡眠をとれなかったなんてこともなかったし…、今回は大丈夫だよね…?
内心焦る私に、カデアが告げる。
「当分の間、ノルンは私のベッドで寝かせます」
あ───これはアウトっぽい…。
「すまない───我が姫。我が、神竜の御子に報告したのだ」
「ヴァイスが?」
「そうだ。『我が姫と神竜の御子の逢瀬を邪魔しないこと』、『我が姫が無理をするようなことがあったら神竜の御子に報告すること』を条件に滞在を許可されたからには、報告しないわけにはいかなかったのだ」
ヴァイスは、私が寝込んでいるうちにレド様の許可を得たらしく────精霊樹の森には帰らず、このお邸にずっと留まっていた。
お邸にいるときは常時こうやって私の傍にいるが、レド様と過ごすとなると何処かへ行ってしまうので、それを許可する条件にしたのだろうとは思っていたのだけど────まさか、そんなことまで条件に入っていたとは…。
な、何か────レド様による包囲網が、どんどん敷かれていっている気がする…。
「本当にすまない、我が姫」
私が怒ったと思ったのか項垂れるヴァイスに、慌てて口を開く。
「それがレド様との約束だったのなら、仕方がないよ。だから、気にしないで───ヴァイス」
それに、レド様に報告したということは、ヴァイスにも私が無理をしているように見えたということで────結局のところ、私はまた、自分では無理をしていないつもりで、レド様や仲間たちに心配をかけてしまったのだ。
「心配をかけてごめんなさい───カデア、ヴァイス」
私が素直に謝ると───カデアは表情を緩め、ヴァイスは甘えるように私の足に頭を擦りつけた。
だけど────眠る前に調べ物ができないのは、ちょっと厳しいな。
やらなければいけないこと───やっておきたいことが残っているのに、時間が足りなくて本当にもどかしい。
地下調練場や“お城”の工房でなら、外部との時間をずらすことで多少の時間稼ぎはできるけど────持ち運ぶことができない作業も多い。
私が調べたいこと────それは、“魂魄の損傷”に関することと、【青髪の魔女】についてだ。エルフという存在や【魔導巨兵】も気がかりだが、この二つは仲間の安否に係わる。
それらの情報を求めて、ここ数日───私はノルンを通じて、地下遺跡の【記録庫】を検索していた。
しかし、【青髪の魔女】に繋がるような情報は引っかからず───“魂魄の損傷”についても、【記憶想起】を分析して得た以上の情報は得られなかった。
魂魄に損傷を負った場合どういった影響があるのか────セレナさんが変貌する原因と悪影響はないのかが知りたいのに。
状況が落ち着いたら、レド様、ジグ、レナス、それにエルの魂魄を調べさせてもらうことになっている。それで何か判ればいいけど…。
セレナさんの方は───“氷姫”と、セレナさんの魂魄に直接インストールされているという初期型の【魔力炉】を詳しく調べさせてもらおうと考えている。
地下遺跡と今回の状況を聴く限り、“氷姫”がトリガーである可能性が高い。それと、初期型の【魔力炉】────これも何か関係がある可能性がある。
地下遺跡の制御を担っているあの聖結晶の中に、ディルカリダ側妃が残したと思われる魔術式の設計図と記述を見つけた。
ディルカリダ側妃は、どうやら魔術式を編み上げるのにあの聖結晶を利用していたようだ。
記述の方は、研究レポートというよりも日記に近く────プライバシーを覗き見ることに気が引けつつも読ませてもらったところ、毎日の出来事ではなく、ただ心情を吐露したいときにだけ書き記しているみたいな感じだった。
その中にサリルという少女についての記述があって────やはり、ディルカリド家の始祖サリルは、“忌み子”の謂れの元となったサリルと同一人物で間違いないみたいだ。
ディルカリダ側妃は、『自分の体質を疎むサリルのために、それを抑えるべく何か策を講じたい』と記している。後述がないので、具体的にどんな策を講じたのかまでは判らないが────残されていた設計図の中に【魔力炉:初期型ver.2】があった。
初期型の【魔力炉】は、身体を形作る核───おそらく“遺伝子”に魔術核を書き込み、魂魄へと直接インストールされる。
もしかして、ディルカリダ側妃は────これを利用してサリルの“体質”を抑え込んだ?
それと────私が予想した通り、“氷姫”もディルカリダ側妃が編み上げたものだった。残っていた設計図の中に“氷姫”と同じ魔術式があったのだ。
あの時代、エルダニア王国は大国カイバルスの脅威に晒されていた。
ディルカリダ側妃とサリルはかなり親しい間柄だったようだし、それでなくとも恩人であろうディルカリダ側妃のために、サリルが疎んじていた本来の力を使おうと決意してもおかしくない。
“氷姫”の魔術式には、初期型の【魔力炉】で抑制したサリル本来の力を引き出す仕掛けが組み込まれているのだとしたら────
セレナさんの変貌も───セレナさんはサリルの体質を継いでいて、初期型の【魔力炉】によって抑制されている状態だったのを、“氷姫”によって一時的に本来の体質を取り戻しただけなのかもしれない。
もし、あの【魔力炉】で抑制されるとセレナさんと同じように髪色が薄くなるのなら、【青髪の魔女】がサリルと結び付けられなかったのも納得できる。
それから、サリルが疎んじていた───その“体質”が具体的にどういうものなのかも気になる。セレナさんは、スタンピード殲滅戦では漂う魔素をも操れたと言っていた。この“体質”についても調べる必要がある。
レド様や私のように【現況確認】に何か記載されていることを期待して、セレナさんの【現況確認】を確認させてもらったけれど、特にそれらしい記述はなかった。
ちょっと気になるのは、私の加護によって与えられたセレナさんの肩書が【聖女】ではなく“神子守”だったことだ。
ディンド卿は【聖使徒】、ヴァルトさんは【聖騎士】だった。他の仲間たちとは何だか趣が違うような気がして、どことなく違和感がある。
あれはどういった基準で割り当てられるのだろう。性質や能力が基準となるのなら、【神子守】であることも、セレナさんの“体質”とやらが関係している…?
とにかく、セレナさんに異状がないか慎重に様子を見つつ────すべての事後処理を終えたら、“氷姫”と初期型の【魔力炉】を調べさせてもらおう。
可能なら、別の【魔力炉:初期型ver.2】の設計図を手に入れて、ディルカリダ側妃の残した設計図と比較したい。変わっているところがあれば、その部分を分析する方が効率がいい。
地下遺跡の研究施設になら残存しているかもしれないが────データは、区画固有の聖結晶の方に記録されているようなので、今は検索することができない。
現在、地下遺跡の【魔素炉】は最低限の稼働で、予備炉はすべて停止させている。
そのために、この皇城に張られている【障壁】と、余った魔素量で起動可能なシステム以外は機能させていない。
これは、先日の件で地中の魔素が少なくなっているという理由だけでなく────これまで、【魔素炉】は最低限しか稼働していなかったらしいので、稼働率を上げると皇都周辺一帯に影響が出ることを危惧してのことだ。
ただ───【転移港】に施されている【隠蔽】は停止させたので、あの魔導機構を活動させていた分の魔素を取り込むべく、稼働だけはさせ続けることになっている。
漂う魔素量が増えれば、ヴァムの森の様相が変わってしまう。魔物や魔獣が増殖するのも問題だし、薬草類が採れなくなるのも困る。何より、低ランカーの稼ぐ手段が減ってしまう。
本当は自然に任せるべきなのかもしれないが────おじ様も交えて相談した結果、皇都民や冒険者たちの生活に支障が出ることを考え、しばらくは現状維持することになった。
そういうわけで、地中の魔素量がある程度回復したら、一時的に稼働率を上げて、あのセクションの聖結晶を起動させてアクセスしてみるつもりだ。
それにしても────ディルカリダ側妃とういう人は、本当にすごい人だったみたいだ。
まだ精査できていないが、残されていた魔術式の種類は多岐に渡っている。
施療院に設置されている、自己回復を促進させる魔術陣────あれも、ディルカリダ側妃が編み上げたもののようだ。
これは、記述によれば────“ポーション”を作ることができなかったので、その効能を魔術で再現したとのことだった。
それと、私がイルノラド公爵家と絶縁するために利用した絶縁状。あれに施されていた【契約魔術】もそうらしい。
こちらは設計の過程も残っていて────どうも【認識妨害】を元に創られたようだ。
あの絶縁状を用意してもらったとき、『書かれた誓文の内容を強制的に守らせる』とおじ様に説明されて、どうやって守らせるのか疑問に思っていたけど────おそらく、対象者に強い暗示をかけるのだろう。
他にも、蛇口やコンロ、トイレに施す魔導具に組み込まれる魔術陣など───快適な暮らしに欠かせない魔術陣は、軒並みディルカリダ側妃が設計している。
それから────聖堂に設えられていた、あの“神託”を授かるための魔術陣もだ。この魔術陣は、やはり私が考えていた通りのものだった。
特殊能力である【抽出】を参考に創られたみたいで────【潜在記憶】を検索して、前世での生業を探る。検索には地下施設の聖結晶を利用するようになっていて、なるべく発動に伴う魔力や探られる者の負担を軽減しているらしい。
確か────“神託の儀”のとき、二つある魔術陣の一つに司祭が乗って、もう片方に私が乗った。
司祭が魔術を発動して、私の【潜在記憶】から前世の生業が抽出され、結果は司祭の方に送信された────そういう流れだったようだ。
「むぐ…!」
無意識に、靴を脱いでソファに乗り上げ、膝を抱えようとして────ネロが私の膝の上で寝ていたことを思い出す。
「あっ、ごめん、ネロ」
「…リゼ、またボクがいるの忘れてたの?」
「ごめんね、考え事に夢中になっちゃって…」
お詫びに撫でてあげると、ネロはすぐに喉を鳴らし始めた。ソファの下に伏せていたヴァイスが、むくりと起き上がって、私の膝に頭を載せる。背中を押されたネロが、ちょっと迷惑そうにヴァイスを見遣る。
「我が姫、我も撫でて欲しい」
ヴァイスの可愛いお願いに、私は口元を緩めて、空いている左手でヴァイスの純白の毛を均すように撫でる。気持ちいいのか、ヴァイスもネロと同じように瞼を閉じて力を抜いた。
しばらくは何も考えずにネロとヴァイスを撫でていたが────いつしか、私の意識はディルカリダ側妃のことに引き戻されていた。
禁術である【記憶想起】と【催眠誘導】を利用していたことや、皇妃一派が崇拝していることから────私は、ディルカリダ側妃という人物を、他人を顧みない老獪な野心家のようにイメージしていた。
だけど────残されていた記述を読んだ限りでは、そんな人物であったようには感じなかった。
簡潔で短い記述だったけれど、サリルを心配していることが読み取れたし────イルネラドリエという人物が自分を案じてくれていることに心苦しくも嬉しく感じているというような記述もあって────他人を思いやれる人物に思えた。
そして────【記憶想起】を利用することに対する苦悩も綴られていた。カイバルス王国の脅威に対抗するべく国力を上げるためとはいえ────何も知らない人々の魂魄を傷つけることに、ディルカリダ側妃は罪悪感に苛まれていたらしい。
でも────それでも、利用することを止める気はなかったようだ。
後半の記述には、何としてでもカイバルス王国を退けねばという、ディルカリダ側妃の強い思いが滲み出ていた。
エルダニアという国ではなく、バナドル王を護りたいという────強い思いが。
視察に赴いたバナドル王がディルカリダ側妃を連れ帰ったという文面と、バナドル王がディルカリダ側妃よりかなり年上ですでに3人の妃がいた事実、加えてディルカリダ側妃が美しかったという記述から、何となくバナドル王が一方的に見初めて連れ帰ったような印象を持っていたが────記述を見るに、禁術を利用してまで護ろうとするくらい、ディルカリダ側妃はバナドル王を大切に思っていたみたいだ。
だからといって、ディルカリダ側妃が禁術に手を出して、多くの人を巻き込んだことは許されることじゃない。おそらく、“記憶持ち”が生まれるようになったのは、これが原因だ。
レド様と出逢う前の私ならば、非難していたかもしれない。
けれど、今の私には────何に換えても大切な人を護りたいという気持ちは、痛いほど解る。
もし…、もしも、レド様を護るためにはそうするしかないとなったら、私もきっと────
「っ?!」
不意に後ろから抱き抱えられて、思考に没頭していた私は驚いて振り向いた。
「…レド様?」
いつお帰りになられたのだろう。それに、ネロもヴァイスもカデアも、いつの間にかいなくなっている。
「どうした、リゼ。何か思い悩んでいるのか?」
レド様は私を自分の膝に載せて、心配そうな表情で覗き込む。いつだって私を案じてくれるレド様に、胸が熱くなる。
「いえ…、ただ────レド様が傍にいなくて寂しかっただけです」
「リゼ…」
「お帰りなさい、レド様」
私の言葉に、レド様は嬉しそうに顔を綻ばせた。
「ああ、ただいま───リゼ」
その笑顔を見て、私は胸が締め付けられるような感覚を覚える。
二人きりという状況もあり、何だかレド様の温もりをもっと感じたくなって────レド様の広い背中に腕を回して、その胸に頬を寄せた。すぐに巻き付いたままのレド様の腕に力が入った。
頭に口づけられて顔を上げると、今度はこめかみに口づけられた。私は、無意識にレド様を仰ぎ見る。レド様が熱の籠った眼差しで私を見下ろしていて────視線が交わる。
レド様が腕を緩めて身を屈め、私に顔を寄せる。私が瞼を閉じようとした、そのとき────ふと視線を感じて、私は振り返って固まった。
そこには、”アルカイックスマイル”のような───何とも微妙な笑みを浮かべて、ラムルが佇んでいた。
「……無粋だぞ、ラムル」
不機嫌そうに言うレド様には、驚いた様子はない。
つまり────ラムルはレド様と共に来て、最初からここにいたということで────
それなのに、私ってば誰もいないと思い込んで、レド様に抱き着いて、あんな────あんな…、まるで、キ、キスを強請るようなことを────
「カデアからリゼラ様をお護りするよう言われておりますので。それに、旦那様───お出かけになる準備をいたしませんと。今夜は冒険者たちの打ち上げに参加なさるのでしょう?」
「顔を出すだけだ。……少しくらい大目に見てくれてもいいだろう」
「旦那様は構わないかもしれませんが、私に見られていたとなるとリゼラ様は気になさると思いますよ。そもそも、『少し』では治まらないでしょう。お辛いのは旦那様ですよ。そういうセリフは、情欲を完全に制御できるようになってから仰ってください」
「いや、情欲を完全に制御するなど無理だろう」
「やるのです、男ならば」
レド様とラムルが何やら話していたが────肝心なときに不在だったのに、今になって戻って来た羞恥心に打ちのめされていた私の耳には入らなかった…。
ああ…、このお邸が───いや、皇宮が埋まるくらい深い穴を掘って、今すぐに潜り込みたい…。
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