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博士の挑戦状

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第二百十九話

                  第二百十九話  今では僅か
 小田切君はファミリーコンピューターマガジンのバックナンバーのうちの一冊を読み終えて博士に言った。
「昔はこうした雑誌が本屋さんに一杯あったんですね」
「雑誌コーナーの一角にあった」
「そうでしたね」
「それがじゃ」
 今はというのだ。
「今はインターネットの攻略サイトがあるからな」
「皆そっちを見るんで」
「一冊また一冊となくなっていってな」
 休刊していきというのだ。
「残るは少しだ」
「そうなりましたか」
「週刊のな」
「ファミ通位ですか」
「その雑誌は百万部発行されておった」
 ファミリーコンピューターマガジンはというのだ。
「凄いであろう」
「はい、そこまで売れてますと」
 小田切君も答えた。
「確かに」
「それで他の雑誌もじゃ」
「売れていたんですね」
「そうであったが」
「ネットが普及して」
「今に至る」
 そうだというのだ。
「最早な」
「そうなったんですね」
「そしてな」
 博士はさらに話した。
「こうして懐かしむだけになっておる」
「なくなってしまって」
「もう本屋自体もじゃ」
 雑誌を売っていたというのだ。
「街の中でじゃ」
「減っていっていますね」
「田舎では尚更じゃ」
「ああ、どんどん閉店していっていますね」
「駅前の本屋はよくあった光景じゃが」
 日本ではだ。
「今はな」
「その駅前の本屋さんもですね」
「なくなっていっておるからな」
 だからだというのだ。
「わしとしてはな」
「博士本お好きですからね」
「残念に思っておる」
「ファミコン雑誌も本屋さんもなくなっていって」
「寂しいものじゃ」
 小田切君に渡した本を今度は自分が開いて両手に持ちつつ話した、その顔に本音が実によく出ていた。


第二百十九話   完


                     2024・11・17 
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