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トップシークレット☆ ~お嬢さま会長は新米秘書に初恋をささげる~

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第2部 放課後トップレディの初恋
  縮まらないディスタンス ②

 ――CM撮影が行われたのは、二月初旬の日曜日だった。

「会長、おはようございます。今日はよろしくお願いします」

 その日の朝、スタジオに到着したわたしとマネージャー役の貢を出迎えてくれたのは、広報担当のあの女性だった。そして、彼女の隣には撮影を担当して下さるというカメラマンの男性も立っていた。

「おはようございます。こちらこそ、 今日はよろしくお願いしますね。こういう撮影は初めてなので、色々教えて頂けると助かります」

「本日の撮影にはセリフがありませんので、篠沢会長は自然に動いて頂くだけで大丈夫です。後からナレーションが入る形になります」

「なるほど。分かりました」


 ――スタジオの控室に通されたわたしは、プロの手によってヘアメイクを施された。メイクは口紅のCMなので、唇にはリップクリームだけが塗られた。
 髪型を整えられた後、用意されていた衣装に着替えて準備は完了。廊下で待たせていた貢に声をかけた。

「桐島さん、準備が整ったよ。……どう?」

「可愛いですよ。会長は普段から可愛い方ですけど、今日は何というか、アイドルとかモデルさんみたいです」

「ありがと」

 財界ではちょっとした有名人になっただけのわたしでも、化ければ化けるものだ。プロのヘアメイク、恐るべし。

「僕も今日はあなたの秘書ではなく、マネージャーのつもりなので。撮影も見学させて頂きます。途中で何かあれば、遠慮なく撮影にストップをかけますからね」

 彼はキスシーンの撮影に不測の事態が起きるのではないかと心配していたらしい。相手役の小坂さんが信用ならないのか、それともわたしのことを信用していなかったのか、どちらだったんだろう?


 ――でも、そんな彼の心配をよそに、撮影は順調に終了した。
 わたしも演技は初挑戦ながら、自然に立ち振る舞うことができ、カメラマンさんや監督さんにも満足して頂けたみたいだ。

 問題のキスシーンも、わたしは小坂さんと実際にキスすることなく、寸止めでどうにか収まった。のだけれど……。

「あーあ、残念だったなぁ。君みたいな可愛い子となら寸止めじゃなくて、実際にキスしてみたかったな。また次の機会があれば、よろしくね」

 よりにもよって、小坂さんがわたしに色目を使ってきたのだ。これには温厚な貢も不快感を露わにしていた。

「申し訳ありませんが、この方は芸能人ではなく一般人ですので。そういう不謹慎な発言は控えて頂けませんか? あと、次の機会はございませんので。悪しからず」

 その剣幕には、小坂さんも怯んでいたけれど、さすがのわたしも驚いた。 
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