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微姉妹の祠

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第一章

                微姉妹の祠
 この時ベトナムのその地域は旱魃に喘いでいた、雨が降らず朝から晩まで日差しがやけに強く照らし続けている。
 この状況に誰もが苦しんでいた、それはとある村の少年ダオも同じだった。
 あどけない顔で日に焼けた顔の短い黒髪の少年はこの状況に困って言った。
「雨降ってくれないと」
「もう皆思ってるよ」
「そのことはね」
 両親は息子にすぐに言ってきた。
「早く降って欲しいって」
「そうな」
「そうだよね、それで降るにはどうすればいいのかな」
 少年は両親に尋ねた。
「それなら」
「雨乞いだな」
 父はまだ小学校に通う年齢出ない息子にこう答えた。
「それなら」
「雨乞い?」
「ああ、村の祠に行ってな」 
 そうしてというのだ。
「そこでな」
「お願いするんだ」
「そうすればいい」
「そうね、こんな状況だと」 
 母も言った。
「神様頼みね」
「それしかないな」
「そうよね」
 夫の言葉に頷いて応えた。
「こうした状況だとね」
「困った時の神頼みだな」
「そうでしょ、だからね」
「それが一番だな」
「村の祠にね」
「それじゃあ行って来るよ」
 息子は両親の言葉を受けて答えた。
「それじゃあね」
「そうしてくるか」
「今から」
「うん、あんまり降らなくて」
 そうした状況でというのだ。
「皆困ってるからね」
「水道があってもな」
「今はね」
 両親は今のベトナムが発展し水道が通っていることに感謝しながらもこう答えた、見ればテレビではドラマが放送されている。
「それでもな」
「お水がないことは事実だし」
「行って来るね、今から」
 こう言ってだった。
 家を出て村にある祠の一つの前に行ってそうしてお願いをした、すると。
 お願いをした瞬間に土砂降りとなった、それで家に濡れそぼった身体で帰って言った。
「降ってきたよ」
「まさか本当に降るなんてな」
「思わなかったわ」
 両親は水がしたたり落ちている息子と窓の外の轟音を立てて降る雨を見て驚いて言った。
「物凄く降ってるじゃない」
「凄いな」
「うわ、辺り一帯大雨よ」
 妻は夫にスマートフォンで雨の状況を確認して話した。
 
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