秘密倶楽部
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第二章
彼は同志達にだ、こんなことを言った。
「入会条件は秘密を持っていることにしよう」
「秘密を持っているとか」
「誰でも入られるのかい」
「それでいいのかい」
「そう、そして」
畠田は同志達にさらに話した。
「秘密は秘密、誰にもだよ」
「話さなくていい」
「それでいいのかい」
「話をしなくても」
「話したくない秘密もあるね」
畠田はこうも言った。
「だからだよ」
「それでか」
「言う必要はないのかい」
「秘密を」
「言いたいならば言えばいいよ」
会員達の中でというのだ。
「別にね」
「しかし言いたくないならいい」
「秘密は」
「秘密を持っていることが入会条件で」
「それでなんだね」
「月一回集会を開き秘密について哲学的に話し」
そうしてというのだ。
「そのうえでだよ」
「秘密を話したいなら話す」
「そうしていくんだね」
「その俱楽部では」
「そうしていこう」
こう話してだった。
畠田はその秘密結社を動かしはじめた、月一回彼の家なりレストランなりに集まって紅茶やウイスキィを飲みつつだった。
秘密について哲学的に話し時には有志が秘密について話した、それは特に何でもない集まりだったが。
秘密を持つ者はその存在を知り興味を知ると入会した、そうしてある人はその秘密を話した、秘密という存在がだった。
人を集め何かと言われる様にもなった、だが畠田は言うのだった。
「この結社には多くの秘密があるとだけ言おう」
「やはり何かある」
「どんな結社なんだ」
「実に謎だ」
多くの者が興味を持ち入会した、そして入会してその通りだと頷くのだった。そこには確かに多くの秘密があると。
その結社が今も存在しているかは知らない、だがある人は言う。そこには多くの秘密があると。そのことは事実であると。
秘密倶楽部 完
2024・9・11
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