当社単独
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第一章
当社単独
独立戦争に勝ちアメリカは独立を勝ち取った。
このことは喜ばしいことでアメリカの誰もが喜んだ、だが。
「参ったな」
「戦争で多くの予算を使ってしまった」
「独立戦争のそれで」
「お陰で財政難だ」
「これからが大変だというのに」
「どうしたものだ」
政府の者達は戦争で使った軍事費に頭を抱えていた、独立したばかりの国は何かとすることが多くその分予算が必要だというのにだ。
それでどうして予算を確保すべきかと考えてだった。
東部の酒の蒸留所に高い酒税をかけた、それを受けて蒸留所でウイスキーを造っている製造業者達は考えた。
「これではやっていけないぞ」
「税金が高い」
「これでは他の場所で酒を造った方がいい」
「なら造ろう」
「そうしよう」
こう話してだった。
彼等は酒税のかかっていないケンタッキーに移った、だが。
「ここは大麦には向いていないな」
「どうもな」
「土地があの麦に合わない」
「これではウイスキーは造れない」
「だが折角ここに逃れたのだ」
「ここで造るしかない」
こう話してだった。
彼等はこの地に向いている穀物である玉蜀黍やライ麦を栽培した、そうしてそういった穀物でウイスキーを造ったが。
「これはいいな」
「エライジャ=クレイグが考えだした造り方だが」
「玉蜀黍で造ったウイスキーもいいな」
「美味いな」
「これは売れるぞ」
業者達はそのウイスキーを飲んで話した、そして今度はこうした話をした。
「名前はどうするか」
「バーボンで生まれた酒だからな」
「独立戦争を助けてくれたフランスの王様の名前が付いたな」
「ブルボン家のな」
ブルボン家を英語読みにしたのがバーボンだ。
「じゃあバーボンウイスキーだ」
「その名前にしよう」
「この玉蜀黍の酒はな」
「そう名付けよう」
こう話してだった、彼等はそのバーボンウイスキーを造って売りだした、そうして生計を立てていったが。
「美味いいんだがな」
「質\が合悪いバーボンも多いな」
「色々混ぜてな」
「それが嫌だな」
飲む者達はこうした話をした、その話を聞いてだった。
オールド=フォレスター蒸留所を経営しているジョージ=ブラウンはその皺が目立つ顔でその話を聞いて言った。
「ならうちはいいものを売ろう」
「そうしますか」
「質の悪いバーボンが多いなら」
「それならですね」
「そうだ、質が悪い中で質がいいものがあると売れる」
蒸留所で働いている者達に笑顔で話した。
「だからな」
「それで、ですか」
「いい酒を造りますか」
「そうしますか」
「そうしよう」
こう言ってだった。
ブラウンは自分の蒸留所のバーボンの品質チェックを厳しくした、そのうえで。
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