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東京紅茶舘

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第二章

「そうはだよ」
「淹れられないですか」
「才能と熱意に」
 それにというのだ。
「熟練の技術を感じる」
「熟練ですか」
「そうだよ」
 まさにというのだ。
「最高の紅茶だけれど」
「その紅茶を誰が淹れたか」
「気になるよ、きっと凄い人だよ」
 こう言うのだった。
「まるで紅茶を淹れる為に生きて来た」
「そうした人ですか」
「きっとね」
 こんなことを言う、だがギンガムは紳士でありたいと考えている人物であるので人のプライバシー等は詮索しなかった、それでだ。
 店で紅茶を淹れている人のことh調べなかった、福本もそれならと動かなかったが。
 ある日だ、ギンガムが有給を取って旅行に行っている間に店に来た時にだった。
 店の中に口髭を生やしあばた顔でスーツを着た人を見てだ、思わず言った。
「まさかお札の」
「待て、何故わかった」
 その人が驚いて言ってきた。
「あばたがあるのに」
「いや、そのあばたでわかりますよ」
 福本はカウンターの席から店の奥で紅茶を淹れている人に言った。
「普通に」
「写真では全部修正したしお札でもなかったが」
「私文学部出身で」
 出ている大学はというのだ。
「卒論貴方のこと書きましたから」
「そうだったのか」
「それで、です」
「私が天然痘に感染して」
「お顔にあばたがあったのを知っています」
「そうだったのか」
「そういえば貴方ロンドンに行かれていましたね」
 福本はこのことも話した。
「作品にもされていましたし」
「何かと大変だったよ」
「それならですね」
「あそこは紅茶しかないからね」
「そうでしたね」
「よく飲んだよ」
「それであちらの紅茶をご存知で」
 そうしてというのだ。
「日本におられるので」
「日本のお水にも詳しいよ」
「両方ご存知ですね」
「それでちょっとね、極楽で明暗を完結させて」
 その人はこのことから話した。
「あっちで色々書いているがね」
「俳句もですね」
「本当によく知っているな」
「ですから卒論に書かせてもらったので」
「それでか」
「はい、それで極楽で書かれていて」
「それだけでは物足りなく思ってね、気分転換も兼ねてだよ」
 そうしてというのだ。 
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