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インフィニット・ストラトス~黒き守護者~

作者:eibro
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VS無人機、そして……

 風花の間では、大変なことが起こっていた。

「映像が! どうやらジャミングをかけられたようです!」
「ディアンルグのシグナルは確認できるか?」
「はい。かろうじてですが、なんとか」

 無人機の群れが現れた頃から通信機器がイかれてしまった。

「先生! あたしが行きます!」
「無理だ。この状況ではどうにもできん」
「ですが―――」
「静かにしろ!」

 千冬は興奮する生徒たちを静めるために大声を上げる。

「いい加減にしろ、馬鹿者が! お前らはとっとと一夏の見舞いでも行ってこい!!」

 その声に驚いたのか、残っていた専用機持ち三人が急いで風花の間から出ていく。

「………お、織斑先生……?」
「……何だ、山田先生」
「大丈夫ですか?」
「……大丈夫だ」

 その声を聞いた周りの教員たちは(無理かもしれない)と思っていた。

「お、織斑先生、オルコットさんが福音の操縦者を連れて帰投しました」

 それを聞いた瞬間に千冬は外に出る。

「オルコット!」
「な、何ですか、織斑先生……」
「お前は何か知っているのか! こっちはいきなり通信が途絶えた! 知っていることがあるなら今すぐ答えろ!」
「え? あ、風宮さんから伝言です。『援軍は邪魔だからそんなものを出している暇があるなら一夏を病院に連れていけ』と」
「あの馬鹿………」

 そう言うと千冬は風花の間に戻っていった。





 ■■■





―――祐人side

「邪魔だ」

 ビームソード《炎閃》を両手に一本ずつ展開して空を舞う。そのおかげか二機が落ちた。

「食らうか?」

 ビット《キロプテル》が空で踊り、次々と落としていく。

『これだけのIS相手にこうも優勢だと、各国が動きますね』
(俺は願い下げだがな。俺の言うことをなんでも聞く美少女がいれば考えるが)
『冗談を。あなたはそんなことで動くお人ではないでしょう?』
(フリフリの衣装に身にまとって現れたら考える)
『それ、捕まっても言い訳できませんよ………』

 知ってるよと思いながらビームライフル《迅光》で次々と撃ち抜いていった。

(そういえば、落ちた残骸とコアは回収しているか?)
『ええ。こちらで腕利きの物に拾わせています。その方たちもあなたに会いたいと思ってますよ』
(……まぁ、俺が作ったのって―――ISはゴミだと思わせるほどの能力を持っているもんな……)

 我ながら天災振りを見せつけすぎたと今反省している。

『いえ、さっきのゴミとは違って中々のことですよ。あなたはいつでも私たちの身を案じくれていましたから』
(まぁ、そうだろ。あの女が何を企んで学園を襲撃したりVTシステムで俺を殺そうとしているかわからないが、俺は優しいし)
『……案外、邪魔だからでしょうね』
(それだと本当にゴミだぞ。一夏並みに救われない頭しているんだな)

 そしてすべて撃ち落とした。

(……それにしても、お前はよく会話と掌握の両方をこなせるよな)
『それは向こうが邪魔してこないからですよ。福音を相手にしている時は抗ってきましたが、今ではそれがありません』

 ……妙だな。まさか俺を落とすのだけに集中しているとか……?

(……オルコットの進路妨害とか、そのコアに爆弾が仕掛けられているということは?)
『その可能性も考えましたが、何もありませんでした』

 本当に妙だな。そんなに俺たちを落としたいのならもっと戦力を投入してくるはずだ。……まさか、コア切れか? まだそっちの方が納得できる。

『………少しばかり戻りましょう』
(何故だ?)
『私たちが交戦したときに風花の間と通信ができなくなりました。無事だといいんですが、最悪の場合は―――』
(そうだな。相手は元々が残虐非道なことを躊躇わない人間だしな。戻ってみるか)

 そう思って引き返そうとすると、

『―――!! 危ない!!』

 セバスの指示に従ってその場から飛び退く。
 すると、上空から光線が降ってきた。

(セバス。あれを飛ばすぞ)
『……わかりました。その間は指示ができませんので、ご了承ください』
(誰に言っているんだ? この俺だぞ)
『……そうでしたね』

 その会話が終わると、一つの小型ミサイルがどこかに飛んでいく。おそらくそれはセバスが乗っているだろう。

(それにしても焦るなぁ。だって敵が―――本人が嫌っていたVTシステムだぜ……)

 俺はそのシステムのせいで、仲間を失った。
 生き残ったのは知る限り俺だけ。ただそれだけだった。

 そして今、俺がそいつに立ちはだかる。
 全部が織斑千冬。その数はざっと10体。

「………唯一の救いは、相手の剣が一本だけだということか………」

 ただ、それでも気休めにしかならない。
 こう言ってはなんだが、陸だけだとある程度なら俺でも織斑千冬相手でも勝てると思う。だけどこれは想像に過ぎず、あくまでの仮定論だ。

「………だが、やるしかないんだよなぁ………」

 そして今回はIS。だから余計に絶望的だ。なにせ敵は偽物とはいえブリュンヒルデが10人。普通なら今すぐに逃げ出すだろうに。―――だが、

「何人倒せるかな………」

 三人―――倒せたら良いほうか?
 まぁいいや。生きるのも死ぬのも―――






























 ―――この戦い次第だから。





 ■■■





―――とある天災side

「さ~て、お待ちかねだよ!」

 そう言って天才は嫌いなものを起動させる。

「本当はこんなブサイクな代物を使いたくなかったけどね~。まぁ、敵が()()()()()で福音を止めたか()()()()()以上、ありとあらゆる手段を用いて殺したほうがいいんだよねぇ。本当はあの時に解剖するために連れていこうとしていたんだけど、まさかのちーちゃんが邪魔しちゃうのは意外だったな~。まぁ、そういうのは教師だからしかたないんだけどね」

 それは彼女にとって意外な止め方なのに驚いた。
 普通の千冬ならあそこでは殴って止めていただろう。それが蹴り飛ばして止めるなんて束にとっては想定外だった。

「もしかして、惚れたとか~? まぁ、ないだろうけどね」

 そう束が言うと、スピーカーから予想外な声が聞こえた。

『何人倒せるかな………』

 まさかの倒す宣言。そう。

「何言ってんの、こいつ………」

 束にとっての身の程知らずの発言に、思わず眉を潜める。

「まぁいいや。現役時代に近くすればいいんだから」

 VTシステム故に完全にはできないが、それでもある程度は強化できる。それが篠ノ之束だった。
 そして―――二人目と創始者の戦いが始まった。 
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