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仮面ライダーコウガ〜A NEW AGE HERO〜

作者:紡ぐ風
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EPISODE.01 覚醒

 
前書き
 用語図鑑
 グロンギ:18世紀初頭から活動しているサイエンスマフィア集団。殺人行為を“ゲーム”と称して娯楽として楽しんでいる。
 グロンギ暗号:グロンギが扱う暗号言語。多少の解読は進んでいるが、完全解読までには至っていない。
 ゲブルコア:グロンギが怪人になるために必要なベルト型のエネルギー物質。また、ゲームの進行度の確認にも扱われる。
 アマダムコア:グロンギが開発していた高エネルギー体。現在は警視庁に押収され、管理されている。 

 
 長野県 九郎ヶ岳遺跡内部
 -2000年1月29日AM9:00-
 「どうした、エネルギーがなぜ安定しない!」
 30代半ばほどの男性が他の科学者達に話しかける。その衣服から、男性は研究チームの上司であることがうかがえる。
 「ゲゴガ、今まで使っていたゲブルコアとは性質が違う。コアの構成物質の違いでここまで変化するのは当たり前だ。」
 研究チームの一人は上司である男性、ゲゴガに説明する。
 「そんなことは承知だ。問題なのは不安定化の原因だ。ゲブルコアもアマダムコアも本質自体は同質だ。一体何が違うというのだ。」
 ゲゴガは頭を抱える。すると、外から発砲音が聞こえ、警察官が一斉に押し寄せる。
 「そこまでだ!違法研究の現行犯で逮捕させてもらう!」
 警察官達は銃を構える。
 「やれやれ、そんな玩具に頼っているうちは、私達を取り押さえるなんて夢のまた夢だぞ。」
 ゲゴガはそう言うと、ヤモリのような姿の異形に姿を変える。
 「撃て!」
 合図とともに警察による発砲が行われる。銃弾はゴモゲに着弾するも、弾力性の高い体表にめり込むだけで、貫通することなく地面に落下する。しかし、ゴモゲに当たらなかった銃弾の一発が、アマダムコアと呼ばれていたエネルギー体に当たってしまう。
 「パスギグ、ダラジョベビバデデブセ(悪いが、弾除けになってくれ)。」
 ゲゴガはそう言うと、俊敏に動いて地下の階段へ逃亡する。警察達はその後を追いかけようとするが、銃弾の刺激を受けたアマダムコアはエネルギーが暴走し、凄まじい光を放ちながら爆発を発生させ、爆発が収まった遺跡内部は崩落し、生きた人間は一人もいなかった。

 警視庁 会議室
 -2025年1月29日PM3:30-
 「グロンギの研究施設から押収したアマダムコアと呼ばれる高エネルギー体は現在でも我々の手に負える代物ではないため、保管室で下油中に管理されているが、グロンギがあの事件から再び活動を開始するという話があり、我々警視庁では、特殊対策チームを設立することとなった。入りたまえ。」
 長官は事態を説明し、数人の人物の入室を促し、男女様々な人が入室する。
 「紹介しよう。対グロンギ特殊研究チーム、通称“レジェンド”に所属してもらうメンバーだ。中には民間人協力者もいる。一人ずつ、挨拶を頼む。」
 長官はチームの紹介を行う。
 「レジェンド第一責任者の城ヶ崎柳楽です。自分は、捜査1課から抜擢された身ですので、1課の面子にも関わってきますので、相応の責務を背負う覚悟はできております。それに、自分達は一人で解決するわけではありません。自分の使命が誰かのアシストになる、それを心がけるチームにできるよう努力していきます。」
 長官に促され、五十代前半の男性、城ヶ崎は挨拶を終え、隣の七十代ほどの男性にマイクを渡す。
 「第二責任者兼医療担当の菊地幸人です。私は民間協力という形での入隊ですが、チームの生命線ともなる医療従事を担うことになりますので、相応の責任がついてくることは理解しています。グロンギの特殊殺人は一般の医療知識が通用しないことも理解していますが、皆様の命を預かる覚悟でやらせていただきます。」
 菊地も挨拶を終え、隣の三十代半ばの女性にマイクを渡す。
 「どうも、科学技術担当の檜木玲奈と申します。技術協力のための民間協力ですが、皆様のお役に立てるよう努力していく方針です。どうぞ、宜しくお願いいたします。」
 檜木の挨拶が終わり、最後に入室した三十歳手前の男性にマイクが渡される。
 「捜査一課出身の櫛田晴也です。まだ駆け出しの身ではありますが、皆様の足を引っ張らないよう頑張らせていただきます。また、人員が不足する事態になった際は協力の要請を行うかもしれませんが、その時は宜しくお願いします。」
 櫛田の挨拶が終わり、マイクは再び長官が握る。
 「本当はここにもうひとり加わるのだが、こちらが依頼した時点では海外で活動中だったので、帰国が間に合わず紹介ができずに申し訳ない。とにかく、これからのグロンギ事件は彼らレジェンドの主導となる。本チームの結成を称賛する者は拍手を。」
 長官の言葉に最初は少なかった拍手も、それが続くと周りに合わせるように室内に拍手が響き渡るようになる。
 「以上を以て、本日の会議を終了とする。」
 長官の言葉で会議は終了し、各々が会議室から退室していく。
 「では、俺達も対策室へ向かいましょうか。」
 城ヶ崎はメンバー達を専用の対策室へ案内していった。

 グロンギ日本アジト内
 -1月29日PM5:28-
 「どうやら、アマダムコアになにか変化が起きているみたいだ。」
 グロンギのアジトで一際豪勢な椅子に座っている四十代の男性は呟く。
 「ゴーラ兄さん、やはりアマダムコアを警察に押収されたのは問題だったのでは?」
 三十代半ばの女性が先程の男性、ゴーラに話しかける。
 「レジア、騒ぐほどのことではない。何より、アマダムコアが安定しているということは、奴らが制御装置か何かを作ったということだろう。」
 ゴーラは自身のことを兄と呼ぶ女性、レジアに質問の返答をする。
 「さて、ともなればゲゴガ、わかっているな?」
 ゴーラはゲゴガを睨む。
 「ええ、押収されたアマダムコアの回収、ですね。」
 「ああ。当然、できるな?」
 「はっ。」
 ゲゴガはロングコートを翻し、行動を開始する。
 「さて、最近はゴの連中が増えるどころか、老衰で減っていく一方だし、久しぶりにゲームでも開催するか。」
 ゴーラの言葉はアジト全体に響き渡る。
 「ゲームか!ズの俺達にも権利はあるのか!?」
 一人の男性がゴーラに尋ねる。
 「当然だ。だが、まずはメに昇格してからだ。」
 ゴーラの言葉に、アジト内は歓声が沸き立つ。
 「なら、まずは俺からやらせてもらうぜ!ゲームの内容は、エンジンを搭載していない乗り物の運転手30人ってのはどうだ?」
 先程の男性はゲームの趣旨を宣言する。
 「昇格ゲームなら、それくらいが丁度いいかもね。さ、ゲーム開始よ。」
 レジアは右手の中指に嵌めている指輪を男性のベルト部分にある銅色のバックル、ゲブルコアに当て、ゲブルコアからエネルギーが解放され男性は蛭のような姿の異形に姿を変える。
 「久しぶりのゲームだ。このズ・ビビル・ギのゲーム達成率、更新させてもらうぜ!」
 蛭の姿をしたグロンギ怪人、ビビルは軽い足取りで行動を開始する。
 「はぁ、数を増やせばいいと思っているあたりがズの低能具合を示していると思わない、ワズダ?」
 ズの集団を見ていた二人組のうち、女性の方が男性に話しかける。
 「興味がないな。アマダムコアがどうなるか、ソッチのほうが面白そうだ。」
 ワズダと呼ばれた男性は、つまらなそうに返事をした。

 城北大学 御礼研究室
 -1月30日AM2:32-
 人も寝静まった深夜、研究室に一人の男性が忍び込む。すると、真っ暗だった研究室の明かりが灯される。
 「御礼先生、おかえりなさい!」
 忍び込んだ男性、御礼大輔は部屋で待ち構えていた生徒達に驚く。
 「えっ、どうしたのみんな!」
 御礼は眼の前の光景に言葉が詰まる。
 「どうしたの、じゃないですよ!」
 「半年って言っていたのに、結局1年かかったじゃないですか!」
 「先生のこと待っていたのに卒業しちゃった先輩もいるんですよ!」
 生徒達は御礼に詰め寄る。
 「仕方ないだろ?ちゃんと調べないと、最近は町おこしのために古代文明を捏造する地域はいくらでもあるんだから。」
 御礼は鞄を地面に置く。
 「それで、今回はどうだったんですか?」
 女子生徒の一人が御礼に詰め寄る。
 「タクカナ文明だけど、今回も捏造だったよ。地元の人に話を聞いても曖昧な返答しかなかったから怪しんでいたけど、案の定ってやつ。地質調査をしたら年代が大嘘。そもそも、本当にその文明があれば、多かれ少なかれ言語にその名残があるはずなのに、それがない時点でおかしいんだ。」
 御礼は結果を話す。
 「それが御礼先生が普段から言っている、言葉は大事な謎解き要素ってやつですか?」
 「そう。文明や文化にはその時その時に変化が現れる。例えば、同じ日本語でも東北弁と現代の若者言葉では意思疎通ができないくらい違うだろ?言葉は文明を紐解く重要な鍵になるんだ。」
 「なるほど…」
 御礼の言葉に生徒達は感心している。
 「そうだ。俺はまたここを離れないといけない。」
 「どうしたんですか、先生!」
 御礼の言葉に生徒達は驚く。
 「実は、警察から協力してほしいという案件を受けてね。みんなも知っているだろ、グロンギ暗号ってやつ。」
 「話には聞いたことがありますが。」
 「そこの方面で、力を貸してほしいと言われたから、そっちの方にいかないといけないんだ。」
 「先生、無茶しないでくださいね。人助けになると、先生はすぐ無茶をするから。」
 「ありがと。生徒に心配されているうちは、俺もまだまだだな。それじゃあ、明日は早いから、みんなも解散するんだ。」
 御礼に言われ、生徒達は帰宅していった。

 都内某国道
 -AM8:50-
 大きなトランクケースを隣の席に置いた檜木は、櫛田の運転する車に乗り、レジェンドの活動拠点へ向かっていた。
 「櫛田さん、すみませんね。運転を任せてしまいまして。」
 「大丈夫ですよ。それの扱い方は檜木さんしか知らないのですから、後部座席で安全に保管してもらえている方が、こちらも運転に集中できるというものです。」
 櫛田と檜木が話していると、車の屋根に何かが落下し、ドカンという音が鳴り響く。
 「アマダムコア、ゴボビガスボバ(アマダムコア、そこにあるのか)。」
 櫛田が車を急停止させると、車の屋根から跳ね跳び、ゲゴガが現れる。
 「出たな、グロンギ!」
 櫛田は拳銃を構える。
 「ゴンバゴロジャ、ボベゴゾギビロバサン(そんな玩具、虚仮威しにもならん)。」
 ゲゴガはひたひたと動き櫛田に詰め寄ると、平たい手のひらをぐっと握りしめ裏拳を放ち、櫛田の拳銃を払う。
 「もっと役立つ護衛をつけるんだったな。」
 ゲゴガは櫛田の首を掴み持ち上げる。その時、1台のオートバイがゲゴガに激突し、その衝撃で櫛田は解放される。
 「檜木さん、大丈夫ですか!」
 オートバイの運転手である御礼は檜木に駆け寄る。
 「御礼君、ここは危ないわ。早く逃げて!」
 檜木は逃げるように促す。しかし、
 「そういうわけにも行きませんよ。俺だって、今日からレジェンドの一員として、グロンギを追わないといけないんですから!」
 御礼は檜木を庇うように前に立つ。
 「じゃあ、遅れてくるもう一人って、御礼君のことだったの!?」
 檜木は予想外のことに驚く。
 「感動の再会は今度お願いします。こうなったら、アマダムコアを使うしかありません!」
 櫛田は強い口調で言う。
 「でもあれは完全に調整が済んでいないわ!」
 檜木は反論する。
 「このままでは全滅した上にグロンギにアマダムコアを奪還されてしまいます!早く!」
 「…わかったわ。」
 櫛田の言葉に檜木は押し負け、トランクケースを開く。その中には腰に巻くことを想定されているであろうベルト状のものが仕舞われていた。檜木はそれを取り出そうとするが、そのベルトは突然宙を舞い、御礼の腰に装着される。
 「どういうことだ!?」
 櫛田は驚く。
 「なにこれ!?外れない!」
 御礼も突然のことに困惑する。
 「こうなったら、御礼君に頑張ってもらうしかないわ。御礼君、左上部のスイッチを押して!」
 檜木は御礼に指示を出す。
 「スイッチ?これか?」
 御礼は言われたとおりにスイッチを押す。
 “ホワイトスターティング!コウガ!グローイング!”
 ベルトから音声が鳴り響く。その音声とともに御礼の姿は羽化したてのクワガタの如く短い二本の角と白い装甲が特徴的な戦士の姿となる。
 「バンゲギギデギダボバ、コウガ(完成していたのか、コウガ)!」
 ゲゴガは身構える。
 「コウガ…コウガっていうのか!」
 御礼の変身した姿、コウガも拳を構え、ゲゴガに拳を放つが、ゲゴガは素早く動いてビルの壁面に足だけで張り付く。
 「これでどうだ!」
 コウガは何度も拳を放つが、ゲゴガはそれらを全て躱し、ビルの壁面を力強く蹴り跳躍力を利用した蹴りをコウガに浴びせる。
 「ぐはっ!」
 ゲゴガの蹴りは装甲のない腹部に直撃し、コウガの変身は解除され、御礼は気絶する。
 「リボゾゾギサズグ(身の程知らずが)。」
 ゲゴガはとどめを刺そうと拳を握り御礼の服を掴むが、それを解き御礼の服からも手を話す。
 「ギボヂヂソギグスドパ、グングジョギリダギザバ(命拾いするとは、運が良いな)。」
 ゲゴガはそのまま立ち去っていった。残された檜木と櫛田は御礼のそばに駆け寄るのだった。
 つづく

 次回、EPISODE02 覚悟 
 

 
後書き
 ライダー図鑑
 仮面ライダーコウガ グローイングフォーム
 身長:190cm
 体重:95kg
 キック力:1t
 パンチ力:2t
 ジャンプ力:ひと跳び30m
 走力:100mを6秒
 御礼大輔が変身ベルト、アークルレジェンドで変身するニジイロクワガタの仮面ライダー。初期形態であるため、戦闘能力は極めて低い。

 怪人図鑑
 ヌ・ゲゴガ・レ
 身長:192cm
 体重:73kg
 能力:吸盤状の指、俊敏な移動、頭脳
 ヤモリの能力を持つグロンギ怪人。ゲブルコアによる変身システムを開発した人物でもあり、グロンギの武装の制作担当でもある。戦闘では俊敏さと吸盤状の指で様々な場所に張り付いて3次元的移動を行うスピーディーな戦闘を得意とする。 
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