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おぢばにおかえり

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第八十三話 回廊ひのきしんその八十六

「私から見ればね」
「素晴らしい人ですね」
「そうだしね」
 本当にそう思っています。
「優しくて穏やかで謙虚でしょ」
「そうですね」
「今日でわかったでしょ」
「まだ嫌いですが先輩の言われる通りの人かもって」
「そうよ」
 ずっと言っていますが。
「先輩はね」
「意地悪でも残酷でもないですね」
「そうよ、ただそうした一面もあるかしら」
 今はこうも思えてきています。
「あの人にも」
「どんな素晴らしい人でもですね」
「ついりっぷくしてとか」
 それで、です。
「あるかしら」
「それで僕はそのことを嫌ったんですね」
「そうかもね」
「かんろだいの前とか校門の前とかで」
「そんなことするってかなり残酷だけれど」 
 心から思うことです。
「私だったらとても出来ないわ」
「そうしたことをする一面があるんですね」
「ただそのことを反省されてるから」
 それで、です。
「二度とね」
「されないですか」
「そうした人よ」
 私が知っている先輩はです。
「本当にね」
「そうですか」
「いつも言ってるけれどね」
「よく見ればわかることですか」
「よく見なくてもね」
 私は初対面で、でした。
「わかるわ」
「そうした人ですか」
「新一君別に初対面で嫌いにならないでしょ」
「それはないですね」
 そういえばという口調での返事でした。
 
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