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犬は狼の妹分

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第一章

                犬は狼の妹分
「ワンワン」
「ああ、ふわりテレビ観てるな」
 ケージから出てテレビの前でちょこんと座っているふわりが鳴いたのを見てだ、彼女の家族である国咲家の父親である文太は言った。
「時々そうしてるな」
「そうね」
 妻で主婦の百合子が応えた。
「今もね」
「ああ、色はわからないけれどな」
「犬はね」 
 二人でこのことも話した。
「そうなのよね」
「けれどな」
「それでもね」
「ちゃんと観てるな」
「白黒でもね。それで観ているのは」
 百合子は画面を確かめて言った。
「動物番組ね」
「狼が出ているな」
「そうね、ふわり狼好きよね」
「ああ、犬は同じ種類でな」
「やっぱり好きだけれど」
「狼もな」
 この生きものもというのだ。
「好きだな」
「そうよね」
「あれか」
 夫は妻に言った。
「狼は犬のご先祖だからな」
「狼を家畜にしてね」
「飼ってな」
「犬になったのよね」
「最初の家畜だったな」
「犬がね」
 狼からなったこの生きものがというのだ。
「そうだったわね」
「だからふわりもな」
「元は狼よ」
「だからか」
 夫は妻にさらに言った。
「ご先祖でな」
「自分のルーツっていうことね」
「そうした生きものだからな」
 それでというのだ。
「好きなんだな」
「そういうことね」
「ああ、ただな」
「ただ?」
「姿形はな」
 ふわりを見つつ話した。 
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