彼は いつから私の彼氏?
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
10-6
次の木曜日、お母さんがお休みなので私のお迎えに来てくれていて
「昼間 塾の石積さんが来てくれてね この前のお礼だって 水澄にメロンを持ってきてくれたわ あれから1週間程で申し込みが定員になってしまって、それでも申し込みが遅れた人が粘り強いんで2人オーバーで受け付けたんだって 水澄に感謝してたわよ」
「へぇー すごい すごい メロンねぇー」
「まだ 箱から出さないでそのまんまよー」
家に帰るとお兄ちゃんがメロンの箱とにらめっこしていて
「おう 帰ってきたかー さすがにな どんなかなーって 眺めていた 早く 開けてみようぜ」
「どうしたの? 達樹 果物なんかに興味あったの?」
「さすがになー メロンだぜー それも高級そうなのじゃんかー いい匂いがする」
私が開けて中から取り出してみると、大きなマスクメロンが・・・
「まぁー 立派なメロン 静岡産だって 紙箱だけど桐の箱に入っていたら1万円は超えるかしらー ふふっ はしたないけどねー」と、お母さんも嬉しそうな声をあげていた。
「ご飯 食べたら さっそく いただこうぜー いい香りがしてる」
「だめよ まだ 完全に熟れてないみたいよ おしりからも 匂いするくらいじゃぁーないと しおりにも書いてあるわ もう後4~5日が食べごろですってー 残念でしたー しばらくは 楽しみに眺めていてー」
「お母さん こんなの 高いだろうしー 貰っちゃって良いのかなー」と、私 心配になっていたら
「だってさー せっかく持っていらっしゃったのに 返すわけにもいかないじゃぁない? いいわよー 水澄ちゃんが協力したから 生徒さんも増えたんでしょー あそこも繁盛するんだしー それとね! 申し込みに来た中で 水澄ちゃんのこと すごく褒めていた人が居て 堂々と体験談を話していて、勉強も出来て運動も出来て自信に溢れているしオーラーが出ていたって 道で時たま会って、ジョギングの途中でも丁寧に明るく挨拶をしてくるし、夜でも家の前でトレーニングしてるって すごく努力家なんですよねぇー 最初はあんなに髪の毛短くしちゃって なんかおかしくなっちゃたんかと思ってたんですよ ところが、全国優勝なんてね でも、自分のとこの子にも水澄ちゃんにあやかりなさいって言っているですってー言っていたらしいわ 多分 ほらっ メイン通りの角の大きなお家 オレンヂの屋根の・・・東方《ひがしかた》さんよー お年寄り夫婦と同居してる あそこの上の子が確か女の子で6年生のはずよ 水澄ちゃん 知らない? えーとー みずきちゃん」
「う~ん 見たことある程度かなー 髪の毛長いよねー」
「そう でも 最近 いくらか切ったのかも・・・ 一度ね そのお母さんとお話したのよ お宅のお嬢さんは、太子女学園ですってね 素敵な制服で お嬢さんもおきれいでお上品そう 羨ましいわぁーって言ってたの 丁度 水澄ちゃんが中学に入って直ぐの頃 いきなり話し掛けられて 気持ち悪かったけどネ でも 一応 ご近所さんといえばご近所さんだしー でも 水澄ちゃんのこと ず~っと 見てるみたいなの 一応 気をつけてね そーいう人って 一度 なんかで根に持つと怖いわよー」
「うん でも お母さん 気にし過ぎよー 変にバリァー張っちゃうんだものー」
「そう? でもね 世間って 怖い人のほうが多いのよ 水澄ちゃんだって ジョギングの時は気をつけてね 昼間だからって安心できないわー 達樹 あんた 出来るだけ水澄ちゃんに付き合ってよー」
「へっ 俺かよー 俺 チャンピオンじゃぁないしー いつも 辛いんだよー 水澄 段々 距離伸ばしてるんだぜー そのうち 大阪マラソン出るんじゃぁ無いかと」
「何 情けないこと言ってんの! あなたの可愛い妹でしょ! 頼りないけどボディガード メロン 食べないの? お母さんだって あの時 達樹のような子が居てくれてたら・・・」
「お母さん 早く ご飯! 腹減ったー」と、お兄ちゃんは妙に・・・話を・・・
ご飯の後、私が洗い物をしていると、お父さんが帰って来て
「おぃ! 水澄のあん時の決勝の試合 ユーチューブですごくバズてんだってよー 事務所の女の子に教えてもらった」
「はっ なんだよー 親父は・・・バズってるって 知ってるん?」と、お兄ちゃんがお風呂を洗って戻って来ると
「あぁー 事務所の女の子がなー まぁ 見てみろよー これっ」と、スマホを差し出して・・・確かに、私と花梨の決勝の時の試合だった。私、ビデオで見返すのは初めてだったのだけど・・・最後のほうは、壮絶な打ち合いが続いていて、1球毎に会場からの拍手もすごいみたいだった。最後はやっぱり ボールが力無くコロコロと大写しに・・・私が負けていた。
「でも このフォローの言葉がすごいんだよー ほらっ (すごい! まるで全日本の決勝みたいだ あんなラリー見たこと無い どっちも優勝させてあげたい 感動しました) (最後のスマッシュ なんだぁー あれは 魔球か? それでも それを返した岩場花梨もすごぉーいよー この二人は超人か) (負けてしまったけど、私は香月水澄さんを応援します 準決勝で去年のチャンピオンを破って出てきたんだものー 疲れてたんだよねー あのコーナーギリギリのところにスパンと決まるとスカーッとします あこがれです) (ふたりとも すごい 早く 日本代表になってぇー このふたりで 卓球界も繋がるねぇー 中国を倒せ!) なっ すごいだろう これは、我が娘のことなんだよなぁー」と、お父さんは興奮していた。
「うん 確かに すごいなぁー あっ こんなのもあるぞ (ふたりとも可愛いから すぐにアイドルだよ)ってさ ちょっと オタク気味なのかなー」と、お兄ちゃんも楽しんでいるみたいだった。
「お兄ちゃんもやめてよー 気持ち悪い! お父さん それに女の子女の子って その人達 幾つなの?」
「そーだな 響子ちゃんは30過ぎで 菫ちゃんは28で まだ独身なんだ」
「あのねぇー 今は事務所の女性を女の子って言うのもセクハラよ! それに、何々ちゃんって 今はセクハラっていう時代よ! 苗字で何々さんって呼ばなきゃあダメなの 明日から 直してよねー お父さんの品格の問題よ!」
「えっ あー 気をつける」
「水澄 なに カリカリしてるんだ?」と、お兄ちゃんが言ってきたけど
「だいたいねー こんなの勝手にユーチューブにあげても良いの❔」
「う~ん どうなんかなー でも これを見て 卓球やっている人が参考にするんなら いいんじゃぁないのー」
「そんなこと言っても、ビデオ見て 私等 研究されるんだからネ! 来年は あの見沼七菜香だって・・・他にも どんな強い子が出て来るかわかんないんだからぁー」
「そーだよなー 目標になったんだものなー 追われる立場か?」
「・・・私 トレーニング」と、外に行こうとすると
「水澄 無理するなよ! 神経質になりすぎて 身体痛めたりしたら 無駄になるんだぞ 焦るなよ」
「うん そーだよね お兄ちゃん ありがとう でも 冷蔵庫のプリン 残り一つは私のだからねー」
ページ上へ戻る