| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ドリトル先生の長崎での出会い

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第五幕その七

「絶対にね、けれどね」
「利用したら駄目だね」
「侵略の道具にしたり」
「ましてや人を奴隷にするなんて」
「やったら駄目だね」
「何があっても」
「そうだよ」
 先生は皆にお話しました、帰りの電車の駅に向かう中で。
「信仰はその人のもので」
「布教はいいけれど」
「それでもだね」
「強制は駄目だし」
「侵略に利用して」
「奴隷にする為になんてね」
「絶対にやってはいけないから」
 強い声でのお言葉でした。
「だから当時の秀吉さんや幕府のやり方はね」
「日本と日本の人達を守る為に必要だった」
「切支丹を弾圧したことは」
「そうだったんだね」
「先生はそう思うんだね」
「そう考えているよ、それにちゃんとチェックしたね」
 このことも言うのでした。
「わざわざ踏み絵をさせてね」
「隠れ切支丹かどうか確かめる為に」
「まさにその為にね」
「ちゃんと踏み絵をさせて確かめて」
「踏めばよし」
「踏まないと、ってやってたね」
「かなり慎重で理性的だったよ」
 幕府のやり方はというのです。
「むしろね」
「そうだよね」
「それで踏まなかったら切支丹で」
「信仰を棄てよと言う」
「棄てない言ったら死刑」
「いきなり疑いかけられたら死刑より遥かにいいね」
「そう、欧州ではね」
 先生はご自身の祖国イギリスのことも含めてお話しました。
「宗派が違うと思ったら」
「それでだったね」
「異端審問とかね」
「そうした状況だったからね」
「プロテスタントとカトリックで」
「そうだったしね」
「一体どれだけの人が犠牲になったか」 
 先生は悲しいお顔で言いました。
「欧州の各国でね」
「イギリスではメアリー女王がおられたしね」
「ブラッディ=メアリーだね」
「エリザベス一世も沢山の人処刑されて」
「クロムウェルさんも酷かったね」
「フランスでもドイツでもスペインでもだったね」
 先生はこうした国々も挙げました。
「ユグノー戦争や三十年戦争があって」
「異端審問官もいて」
「踏み絵なんてとてもしなかったね」
「アルビジョワ十字軍もあったし」
「もう異端もカトリックも一々見分けずに殺して」
「とんでもなかったね」
「日本ではしなかったから」
 こうしたことはというのです。
「絶対にね」
「そうだったね」
「日本は慎重にチェックしていたね」
「切支丹の人達に対しても」
「処刑の前に信仰を棄てる様に言ったし」
「それに魔女と言っても」
 先生は魔女狩りのお話もしました。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧