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狂気への報い

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第一章

   狂気への報い
 テーバイの王ペンテウス、若くりりしい顔立ちの長身で逞しい身体と見事な金髪を持つ彼はこの時ゼウスの神託を受け神に頷いていた。
「わかりました、ではこのテーバイでもです」
「デュオニュソスを信仰するな」
「そうします」
 苦い顔で言うのだった。
「ゼウス神が言われるなら、しかし」
「それでもか」
「ディオニュソス神の信者達は非常に乱れます」
 このことを言うのだった。
「それもかなり」
「だからか」
「乱れ法に触れる行いをしたならば」
 その時はというのだった。
「このテーバイの王としてです」
「法を守護する者としてだな」
「はい」
 まさにというのだ。
「容赦なくです」
「罰するか」
「そうしても宜しいですね」
「法がってこそ人の世は保たれる」
 これがゼウスの返事だった。
「まさにな」
「左様ですね」
「その時はそなたに預ける」
 ゼウスは確かな声で答えた。
「ディオニュソスの信者達が法を犯せばな」
「その時は」
「テーバイの王であるそなたにな、ただ」
 ここでゼウスはこう言った。
「酒には水だと言っておく」
「水ですか」
「そしてそなたの祖父であり先の王であるカドモスともだ」
 テーバイの最初の王である彼と、というのだ。
「よく話をしてな」
「対するべきですか」
「左様、よいな」
「わかりました」
 ペンテウスはゼウスの言葉に頷いた、そのうえでディオニュソスの信者達主に女である彼女達にあたることにした、信者の中には王の母であるアガウェもいてだった。
 日々酒の神を敬い酒を愛し酔っては乱れた、そして近頃その乱れが特に酷くテーバイのあちこちで乱痴気騒ぎを繰り広げた。
 ペンテウスはそれを見て王として断を下そうとした、しかしここでゼウスの言葉を思い出してだった。
 祖父であるカドモス、年老いたが自分に遺伝を受け継がせている外見の彼と相談した。そのうえで
言うのだった。
「母上も然りで」
「ディオニュソス神の信者達の行いをだな」
「あそこまで至ってはです」
 祖父に苦い顔で話した、
「法に触れますので」
「処罰すべきだな」
「酔って暴れ人を傷付けものを壊すので」 
 だからだというのだ。
「ですから」
「罰するな」
「そうすべきですがどう思われますか」
「ゼウス神に言われたな」
 カドモスは孫王にこのことから話した。 
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