彼は いつから私の彼氏?
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8-2
入学式も終えて、新入部員も10人程が顔を揃えて、その中でも小学校からの経験者が3人居て、京都から1時間以上かけて通ってくると言う杉下ひなたちゃん。小学生以下の大会で何度か優勝したという。でも、去年、初めて見た花梨が繰り出す鋭いスマッシュとは大違いなのだ。去年のレギュラーを脅かす花梨みたいな子はいないと感じていたのだ。
「なぁ 若葉 響先輩に言われた 私のこと 卓球バカってなんやろー 気になってるんやー」
「そーやなー 花梨も水澄もどんどん打ち込んでいくタイプやろー けど、うまい相手にぶつかると、球すじ読まれて通用せんと思うんやー 花梨は天才やから、直ぐにそのことに気がついて、自分を押さえて、逆のほうに打ったりして無理してたんやと思う。水澄は自分のスマッシュで決めることにこだわって恰好ええと思ってるんちゃうかー? 正直すぎるんやー 卓球なんてだまし合いやでー 相手の思ってるウラをどう攻めるかや! 水澄みたいに真向から向かっても、いつかは挫折するって 自分も疲れるしな」
「・・・」
「この前の試合 どうやった? ウチが水澄の打ち込んだスマッシュ返って来て、もう一度ウチが同じとこに打ち込んでも、返ってきたら水澄は逆を突いたり、短いので返して色々してたヤン 疲れたかぁ?」
「ううーん 自然と・・・」
「それで ええねん それが水澄の本来の持ち味やー ウチも すごぉー やりやすかったでー このままで行くと頂点に立てるって思った」
「若葉 ありがとう スッキリしたわー 私 花梨にも 無理させとったんやねー」
「あの子は そんな風に思ってへんでー きっと 水澄が居ったからー ペァを組んだから 気がついたんやー」
「若葉 いつも 冷静に見てるんやねー 頭ええんやー 成績もええんやろー?」
「ふふっ 水澄 学年3番やったんやろー ウチも3番やー 次はトップ 狙ってるんやろー ウチもな」
「ええー ・・・若葉・・・ 何者じゃー こわいぃー」
「何者って 水澄のほうが脅威やー でも、水澄と全中でも成績も 一緒にトップに立つんやー」
「やっぱり 怖いわー 若葉」
そして、5月の前に新しいキャプテンが監督から発表されて、若葉になった。バイスキャプテンは花梨だった。やっぱり、若葉はいつも冷静だから、私も安心していたのだ。
「若葉 頑張ってなー 若葉にはピッタリやー」
「ウチも キャプテンやったら 負担が大きいから 嫌やなーって思ってたんよ 若葉を補助するくらいがウチにはええんやー」と、花梨も本当に ほっとしていたみたい。
「そうやー 監督も言ってたけど 香にハッパかけて 夏までには代表に選ばれるよーになってもらわんとなー」
「なんやのー 若葉 キャプテンになったらからって・・・急に・・・」
「そんなこと無いでー 仲間4人揃って行かんと意味ないんやー 朝咲、美雪先輩の上に行くのって あと 少しやー もう、二人とも向上心が少のぉーなってるからな」と、私も後押しをしていたのだ。
「わぁーあー イジメるの嫌やでー 花梨なんて 言い方 きついんやものー」
「ウチはそーいう風に教えられて来たんやからー しよーぅがないやろー でも 悪気ないんやでー」
「香 しばらく お嬢様 捨てやー なりふり構わずやでー」
「誰がお嬢様やのー 水澄のほうこそ お嬢様やんかー」
「そんなことないでー 私は 彼氏を捨てた トップになるためにな」
「なんやのー それは・・・ 一真さんのことか? ウチもそーせーってことか? クラブとは関係無いやん!」
「そう 関係無いよねー でも デートする時間があるんやったらー」
「水澄 そんなん かわいそーや無いの! 水澄とは考え方 ちゃうんやからー」と、若葉はかばっていた。
私達は5月の連休の後半に4人だけで合宿をすることに決めた。急に決めたことなので・・・いつも、合宿に使わせてもらっている旅館に若葉が連絡を取ってみて、連休中ということもあって満室で断られたんだけど、体育館に布団を敷いても良いからと無理やり頼み込んだのだ。
当日は朝早く出て、向こうには9時過ぎに着いていて、すぐに着替えて砂浜をランニングして、その後は打ち合いをやっていた。1泊なので強行スケジュールなのだけど、皆で決めたことなのだ。寝るところは、体育館の隅にでもと言っていたのだけど、ご好意で従業員の宿舎というところを使わせてくれたのだ。お昼にも塩こんぶのおにぎりと卵焼きを用意してくれていた。
香もこれまでと違って右に左に動きが違ってきていたのだ。夕食は一般のお客さんの邪魔にならないようにと言っていたので、6時からで、私達には、そのほうが良かったのだ。ご飯の後も練習するつもりだったから。食事の時は旅館の女将さんが御世話をしてくれていて
「あなた達 熱いわねー 今年は 優勝しなさいよ! 応援してるんだからー 夏も来るんでしょ 待ってるからー」
「ハイ! この花梨はシングルも団体も 2冠とります」
「ちょっとぉー そんなの わかんないじゃぁない」
食事の後も、試合形式で打ち合って、10時過ぎに、ようやくお風呂に入ったのだ。湯舟に浸かりながら
「香 いつも あんな可愛らしいのん 穿いてるんか?」
「うーぅ? 可愛らしいのって ショーツのことかー?」
「うん あんなんやったらー 踏み込んだ時 気にならへん?」
「でも アンダーパンツも穿いてるし・・・ だいたいやなー 去年の夏 白浜行ったやんかー あん時 水澄もレースの可愛いのん穿いとったんやんかー ウチはまだ おぼこいのんやったんやー はぁーぁと思ってな それからー」
「あー あの時は、智子に吊られてな 併せて、そのまま・・・でも、今は ピタっとしたお腹までのんやでー あんなん クラブの時は頼んないやんかー 力入れたら、ずりそーでー」
「ふ~ん そんなもんなんかなー ウチも白雪姫やめるかな!」
「誰が白雪姫なんや! 香はこれから ドロ雪団子になるんやでー 白雪姫なんて まだ 先の話やー しばらく おあずけ!」
「うぅー わかった 水澄 見捨てんとってなー ウチがドロ雪団子やったら 水澄は ドロ饅頭やろー」
でも、最近の香は頑張って、実力もついてきているのが私にも感じられていたのだ。
次の日も辺りが薄明るくなってきた時間から砂浜をランニングして、終わり頃にはみんなが私がしているようにステップを切りながらのランニングもしていた。そして、お昼時間を挟んで3時頃まで、びっちりとお互いを磨いたのだ。確かに、4人が1ステップ上達したように思えていた。
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