金木犀の許嫁
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第四十四話 色々楽しんでその五
「なくなっていたそうよ」
「そうなの」
「誰かが燃やしたのかもね」
「ルイ十五世が証拠隠滅で?」
「それはわからないけれど」
それでもというのだ。
「その時にはもうなくて」
「わからなくなっているのね」
「フランスの子で気にしている子がいてね」
「言われてるの」
「そう、誰だったかね」
「そうなのね」
「多分だけれど」
真昼は首を少し傾げさせつつ夜空に話した。
「王様と関係あったのは確かよ」
「そのことはなのね」
「何でも牢獄の中で凄い礼儀で接されたいたみたいだし」
「凄いっていうと」
「王様に対するみたいな」
「じゃあ間違いなく王様の関係者?」
「そうかもね、しかも手紙を書いて窓から落として」
そうしてというのだ。
「助けを求めたらしいけれど」
「どうなったの?」
「そのお手紙漁師さんが拾ったら」
監獄は海辺にあったのだ、それも高いところにあったという。
「監獄長さんが飛んで来て血相変えて漁師さんにお手紙読んだかって聞いたのよ」
「絶対に普通じゃないわね」
「それで漁師さん字が読めないって言ったら」
当時は民衆は文盲が普通であった。
「監獄長さん笑って運がいいなって言ったそうよ」
「つまり読めたら」
「消すしかない様な」
「そんな内容だったのね」
「それでお亡くなりになったらね」
それからはというと。
「夜空ちゃんが言った通りにね」
「証拠が全部消されたのね」
「閉じ込められていたお部屋全面リフォームして」
それこそ壁や絨毯まで変えたという。
「証拠消したそうだから」
「尋常じゃないわね」
「そうしたことを見ていると」
「王様の関係者ね」
「そう思ってもね」
それでもというのだ。
「別にね」
「おかしくないわね」
「そうだと思うわ、お姉ちゃんも」
「そうよね」
「そうしたことも考えて読むとね」
ダルタニャン物語をというのだ。
「面白いわよ」
「確かにね」
夜空も確かな顔で頷いた。
「そう言われたら」
「そうでしょ」
「ええ、興味出たわ」
「それならね」
「読んだらいいわね」
「私は三銃士しか読んでいないけれど」
真昼はというのだ。
「実はね」
「全体は読んでないのね」
「三部構成になってるのよ」
「ダルタニャン物語は」
「そう、それでね」
真昼はデュマの代表作の一つであるこの作品の話をさらにした。
「三銃士は第一部にあたるに」
「そうなの」
「ダルタニャンの若き日を書いていて」
「私達がよく知っている三銃士ね」
「そう、それで第二部はダルタニャンも三銃士も中年になるの」
「その頃の作品ね」
「そして第三部が鉄仮面なのよ」
そうなっているというのだ。
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