ソロの石板
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第2話 ギルドへ
「ふぅ……とりあえず着いたな。」
ロイドが呟き目の前にあるドーム型の建造物を見上げる。その頂上にはこちらを見降ろすように設置されてる天使像があった。丸い窓や白い壁ともバランス的に合い、意外にも洋風の城に似た雰囲気を出していた。
「どうしたの?早く行こうよ。」
初めて見た建物に見とれていたカリスはサリーの言葉で我に帰り既にギルドに入ろうとしていたロイドに走って追い付いた。
「へぇー。ここがギルドかー。」
青いゲートをくぐった先は大きなホールのような場所だった。たくさんの椅子が並べられ、左右には受付カウンターがある。白く輝く床には天使をモチーフにしたような紋章がある。
「ここは大ホールだ。ギルドに依頼をする人がここにくる。まぁ後は俺たちがその依頼を解決するって感じだな。うん。」
ロイドが説明をしてくれた。その時カリスはこちらに向かい、走って近付いてくる人物を発見した。
「2人共、あの人は____」
しかしカリスが言い終わらない内にその人物は3人のすぐ近くにまで接近していた。少し黄色が混じった茶髪、頬には大きな傷跡がある。青いコートを羽織っいる男は3人より少し背が高い。その男はロイドとサリーに古くからの友人と喋るような口調で呼び掛けた。
「サリー!ロイド!久しぶり!」
2人はやっと男に気付き驚いたような顔をした。
「グレイさん!?久しぶり!」
「グレイ?お!久しぶり!」
「いやー、久しぶり2人共。しばらく任務で会えなかったからな。ところで3人目は見つかったのか?いくら俺でもこれ以上延ばすと議長に怒られそうなんだが……」
グレイと呼ばれた青年は困ったような顔をして言った。しかしそれに対しサリーがあっけらかんとした表情で言った。
「あ。見つかりました。ていうかこの人です。」
そういうなりカリスの背を押しグレイの前に突き出した。
「え?ちょっ、あ。」
「あぁ君が?俺はグレイ・テラシェール。これからよろしく!」
そう言いながらカリスの手を掴みぶんぶんと振る。
「君って武器何使うの?」
「え……えっと今のところ木刀ですけど。」
「俺と同じじゃん!よし、ちょっと模擬戦やろう。今ポイントすげーヤバいんだ。模擬戦の僅かなポイントさえ欲しくてたまらないほどヤバいんだよ。というわけでいこう。善は急げだ。」
「いや、僕は……えぇ!?ちょっ。」
「大人気ないぞグレイ。」
「グレイさん?カリス君来たばっかりだから……行っちゃった。」
「まぁいいじゃん。練習場なら一般人も勝手に使っていいんだし。」
「それはそうだけど……もう、人の話を最後まで聞かないのはグレイの悪い癖だよね。」
「…………お前が言うな。」
そのまま2人はグレイとカリスを追い練習場へ向かった。
SIDE:カリス
「なんでこんな目に……」
今僕は練習用の剣を構えている。そしてぼくから2メートルほど離れた辺りに向かい合う形でグレイさんが剣を構え立っている。それにしても酷い。ギルドに入ったらいきなりサリーとロイドの友人であるグレイさんが意味わからないことを言いながら無理矢理連れてこられた。そのまま何故か強制的にグレイさんと模擬戦をやることになった。
「ルールは先に三本取った方が勝ちな。さぁ。手加減抜きでかかってこい!」
「あー……はい。」
手加減抜きって言ってるし本気でいけばいいんだろう。僕が剣を構え攻撃を仕掛けようとしたときだった。
「ちょっと!」
いきなりサリーが現れ、試合を止めた。グレイが驚いた顔をし、サリーを見た。しかしサリーはそれを無視してグレイに言った。
「グレイさんはトップギルダーなんだからカリスが一本でもとったら勝ちにしてよ!」
「えぇー……いや、マジでこれ以上ポイント減るとヤバいんだって。マジでトップギルダーの称号を剥奪されるって。」
グレイさんがすごく慌てて言っている。なんかハンデ貰えるらしい。それに……えっとトップギルダーだっけ?グレイさんはそれらしくて結構強いらしい。それと、まだ口論は続いているらしい。
「いやだから勝てば良いじゃないですか。」
「もしも負けたらヤバいって。入ったばかりの新入りに負けたトップギルダー!ポゴに馬鹿にされるの決定だろ。」
「ポゴさんの事は放っておけばいいでしょ。それにグレイさん強いんだから大丈夫ですって!」
「あぁー……わかったよ。」
やっとグレイさんが納得してくれたらしく剣を構えるとサリーが満足そうにロイドのところへ戻った。
「あぁー……悪いが本気でいくからな。勝たないと結構本気でヤバイし。」
グレイさんの目は真剣そのものだった。だからこそ手加減をするのは失礼だと思う。僕はもう一度強く剣を握り締め、構える。
「望むところです。」
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