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『もしも門が1941年の大日本帝国に開いたら……』

作者:零戦
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第二話

 
前書き
まさか続きを出すとは思わなかったよ。 

 



「それで門の戦闘はどうかね?」

「今のところは平穏なようです。門周辺にいた敵帝国軍を撃滅した今村司令官は門を守るために防御陣地を構築するのに専念しているようです」

 一月十日、大本営で東條は報告を聞いていた。

「うむ、未開の地なのだから当然だな。それで菅晴次局長。私に何か質問でもあるのかね?」

 東條は先程から兵器局長の菅晴次少将が此方を見ていたのに気付いていた。

「は、実は御願いがあります」

「ほぅ願いか……」

「実は陸海で徴兵した技術者や工員等を退役させて職場復帰させてほしいのです」

 菅局長の言葉に会議にいた人間はざわめき出す。東條はそれを制して菅局長に聞いた。

「何故かね?」

「兵器を増産するためです。女子どもが兵器を生産しては荒い生産になるので熟練の腕が欲しいのです。それと九七式中戦車の生産も停止させてほしいのです」

「……理由は十分に分かるがチハもか?」

「はい。実は門周辺の一連の戦闘の結果を見たのですが、チハや九五式軽戦車の装甲が薄すぎて破壊されたのが多数あります。先の戦闘でもチハは十二両がオークやゴブリン等に破壊されました」

「……それで新型戦車の開発を進めろと?」

「はい。現地でもチハの車体に九〇式野砲を搭載した砲戦車を独自で作っています」

「……良かろう。戦車の開発は急ぎ進める。問題は鉄だ。今のところは満州からの輸送をもって生産しているが……」

「宜しいですかな?」

 その時、海軍大臣となった嶋田大将が挙手をした。

「今回の件で我が海軍も重く受けとめています。なので、GF長官の山本と相談しまして練習艦等を解体して資材をそちらに回します」

『おぉぉ』

 嶋田大臣の言葉に陸軍側は驚いた。そして嶋田大臣から解体する艦艇が発表された。

 旧式艦艇から対馬、浅間、吾妻、春日、平戸、矢矧が解体されて更に大和型戦艦の三番艦として横須賀工廠で建造していた一一〇号艦(後の空母信濃)を建造中止して資材を陸軍側に回す事にした。

「ありがとう嶋田大臣」

「いやいや、今は非常時なんです。海軍も建造は暫く軽巡等に絞る予定にします」

 この海軍の資材提供のおかげで陸軍は生産に弾みがつくのであった。

 一方、海外では門の出現に様々な反応をしていた。

「門は恐らくは我々のフロンティアだ」

 ホワイトハウスでフランクリン・ルーズベルト大統領はそう言った。

「ですが大統領。チャイナに市場を展開するのではないですか?」

 ハル国務長官がルーズベルトにそう返した。

「そうだ、チャイナに市場を展開してから日本へ接触する。トージョーはチャイナから撤退すると世界に宣言をしている」

「では地盤が整ってから……と?」

「その通りだハル。それに日本は北部満州やを我々に譲るような情報もある。更に北部仏印からも撤退するような気配もある」

「……それでは?」

「仕方あるまいが禁止していた輸出は解禁しよう。ただし北部仏印から撤退するならだ」

 ルーズベルトはそう言った。

「火中の栗はジャップに拾わして、我々は悠然と行こうではないか」

 反日派を動かしてきたルーズベルトにしては慎重な動きだったが、それは仕方ない。何せ、伝説に近い動物がいたのだ。

 これ以後、アメリカは徐々に日本に近づきつつあった。

「門は日本の物にしてはならんッ!!」

 ベルリンの総統官邸でドイツ第三帝国のアドルフ・ヒトラーがそう叫んでいた。

「何としても日本と共同して門の利益をドイツの物にするのだッ!!」

「ですが総統。我々はイギリスと戦っており、日本に支援するのも……」

「なら日本が支援を求めてきたら支援するのだ。日本が漁夫の利をするのは余が認めんッ!!」

 戦う前から勝ち馬に乗ろうとしている日本にヒトラーは警戒するのであった。

 一方、ソ連でも同様の警戒をしていた。

「……ヤポンスキーの門は我がソビエトが管理してやろうではないか」

 クレムリンでスターリンは集まった部下達にそう言っていた。部下達はスターリンの言葉にまず無理だろうと思った。ハルヒン・ゴール紛争(ノモンハン事件)で戦ったが日本軍の野砲、速射砲、火炎瓶の攻撃で手痛い損害を与えられていたのだ。

「書記長。幸いにも我がソビエトはヤポンスキーと中立条約を結んでいます。ヤポンスキーと密かに接触して様子を伺ってみましょう」

「それは言われずとも分かっている。ならば友好的に接触しておこう。何せヤポンスキーとは中立条約を結んでいるからな」

 スターリンはそう言って日本との接触を開始するのであった。そしてイギリスも門には関心があったがドイツから自国を防衛するので精一杯(バトル・オブ・ブリテン)でありそんな余裕はなかった。

「日本に東南アジアやインドを取られればイギリスは破滅する」

 チャーチルはそう言って日本とは友好的な関係にしておくのに留めた。下手に動けばドイツが何をするか分からないのだ。

 そのためか、日本とイギリスの仲は比較的に友好であった。(元々は日英同盟を結んでいた事もあった)

 一月十五日、アメリカからの交渉に東條は了承して北部仏印からの撤退を全世界に向けて宣言した。これによりアメリカは禁止していた輸出を再開して日本は何とか首の皮が残る程度でアメリカとの開戦は避けられたのであった。







 
 

 
後書き
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