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犬のお弁当

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第一章

                犬のお弁当
 ふわりを連れてだった、彼女の家族である国咲家の父の文太と母の百合子は文太の会社の人達が主催するピクニックに参加した。
 のどかな山道にふわりを出すとだ、すぐに文太の会社の人達が言ってきた。
「よくお話してますけれど」
「写真も見せてくれて」
「可愛いですね」
「賢そうですね」
「ああ、とてもいい娘だからな」 
 文太は自分の階差の者達に笑顔で応えた。
「可愛がってくれよ」
「そうさせてもらいます」
「人懐っこいですしね」
「随分人慣れしてますし」
「吠えたり噛んだりもしなさそうですね」
「そんなこと本当にしないからな」
 だからだというのだ。
「安心してくれよ」
「わかりました」
「それじゃあです」
「可愛がらせてもらいます」
「大事にしますね」
「宜しくな」
「ワンッ」
 ふわりも上機嫌で鳴いた、そしてだった。
 両親達にリードにつながれたうえでピクニックをはじめた、山道を上機嫌で歩いていった。そうのうえで。
 昼に目的地の山の頂上に来るとだ、昼食になったが。
 文太は自分達の弁当を出す百合子にだ、こう言った。
「皆わかってくれてるからな」
「ふわりに食べものあげてないわね」
「ああ。やっぱりな」
「人の食べものはね」
「犬には合わないからな」
「どうしてもね」 
 夫に弁当を出しつつ話した。
「そうなのよね」
「だからな」
 一緒に敷かれたシーツの上に座りつつ話した。
「これからな」
「ふわりのお弁当出しましょう」
「そうしような」
「とはいってもね」
 夫に笑って話した。
「出すものは同じなのよね」
「ああ、ドッグフードだからな」
「普段とね」
「そうだからな」
「こうしてね」
 小さなプラスチックのケースを出した、その蓋を開けるとだった。 
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