ハッピークローバー
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第百四十八話 本物その十五
「苦しむのよ」
「そうなるの」
「だからね」
それでというのだった。
「実際に人の底をぶち抜いた」
「そこからさらに堕ちた」
「そんな奴もね」
それこそというのだ。
「いるのよ、ほら学園でも有名な」
「有名な?」
「理事長さん達が信者さんの教会のね」
「ああ、あの信者さんね」
理虹も誰か言われてわかった。
「恩知らずで図々しくて尊大でっていう」
「文句ばかりで働かないね」
「あの人ね」
「ああした人がね」
「餓鬼になるのね」
「誰に何してもらっても」
それでもというのだ。
「全く感謝しないでね」
「文句ばかりで」
「それでね」
留奈は嫌そうに話した、見れば二つの生首は実に饒舌に話している。
「人の家にお邪魔し鱒も言わないでふんぞり返って入って」
「大飯食べてお風呂入って寝て」
「朝ご飯も沢山食べてね」
「人の部屋に勝手に入って本漁る」
「あの人よ」
「ああ、あの人ならね」
まさにとだ、理虹も頷いた。
「確かにね」
「餓鬼になるでしょ」
「ええ」
実際にというのだ。
「どうにもならないってことで有名だしね」
「この学校でもね」
「もういなくなったのよね」
「それで最近分かったけれど」
留奈はこう前置きして話した。
「何処にもいられなくなって行方不明だったのが」
「ああ、奈良の方で生活保護で生きてるのよね」
「本当に困っている人が貰うべきなのに」
生活保護はとだ、理虹は怒って言った。
「貰ってね」
「まだ生きてるのよね」
「そうした人がなるのね」
「餓鬼はね」
「じゃあ富美子の言う通りにね」
まさにというのだ。
「布施餓鬼はね」
「しないことね」
「それが徳を積むことでも」
その中の一つであってもというのだ。
「本当にね」
「しないことね」
「そうよ」
まさにというのだ。
「私もそう思うわ」
「それ言うとね」
「あんたもでしょ」
「ええ」
理虹はまさにと答えた。
「そんな人はね」
「助ける気になんてね」
「なれないわね」
「何しろ献血一つしたことない」
「それ位誰でもするけどね」
「私達だってしたことあるしね」
「それも何度かね」
手術や怪我をした時の輸血に使う、だから献血は有り難い善行であるのだ。ただし否定している宗教もある。
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