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実はイケメンだったら

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第二章

「メイクをすれば」
「一変するのよ」
「そういうことですね」
「そう、そのギャップもいいわね」 
 笑顔で言った、そしてだった。
 美里は宏樹を舞台に出し続けた、彼はその都度美形だと言われた。眼鏡を外し髪の毛を整えるだけで抜群の美形となり。
 メイクをすればさらにだった、だがクラスでの彼は。
「相変わらずだな」
「地味ね」
「部活の時はあんなに美形なのにな」
「別人よね」
「いや、人は顔じゃないって」
 宏樹はその地味な顔でクラスメイトに答えた。
「うちの家そう言ってるから」
「だからか」
「外見にこだわらないの」
「そうなんだな」
「舞台で美形でも」
「僕は僕で大事なのは何か」 
 それはというと。
「やっぱり性格だよね」
「そう言われるとな」
「その通りよね」
「本当にな」
「そうなるわ」
「だから舞台ではどう言われても」 
 それでもというのだ。
「僕はこれでいいから」
「普段はか」
「地味でいいのね」
「所謂陰キャラでも」
「それでも」
「部活は頑張るし勉強もだけれど」
 それでもというのだ。
「普段はね」
「そのままでいいか」
「そう言うならいいけれど」
「お前の考えだしな」
「それじゃあね」
「そういうことでね」
 こう言ってだった。
 宏樹は普段は地味なままだった、だが大学に入ってもすぐに素材を見抜かれて演劇部にスカウトされてだった。
 そこから劇団にも所属し整った舞台姿が有名になり俳優となった。しかし普段は地味なままだった。人は顔ではないと言い続け人生を送ったのだった。


実はイケメンだったら   完


                  2024・11・15 
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