金木犀の許嫁
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第三十九話 めでたい幽霊がその十三
「そうしません」
「そやねんな」
「妖術も知らないです」
「実際忍者はそやな」
「昔の漫画のお話ですね」
「小説でもな」
「昔のものですね」
「ああ、そやけどな」
それでもというのだ。
「ほんま実際はな」
「忍者は隠れるもので」
「手裏剣投げてもな」
「あれも強いものではないので」
「超人やないな」
「忍者は」
「そやな、けど昔はな」
織田は小説家として話した。
「忍者いうたらな」
「妖術を使って空も飛ぶ」
「仙人みたいなもんやった、私も一緒にしてな」
忍者と仙人をというのだ。
「書いてたわ」
「そうでしたか」
「そやったわ」
こう言うのだった。
「ほんまな」
「仙人とですか」
「ああ、そしてな」
「そして?」
「佐助さんのお師匠さんの名前もな」
それもというのだ。
「仙人でな」
「忍者でなくて」
「ツァラトゥストアをな」
ゾロアスターのことである、ニーチェが自身の超人思想を語るうえで書いた書にその名前が出ている。
「出したんや」
「そうでしたか」
「あの名前はネタやったが」
「仙人ですね」
「そやった」
「ご先祖様の師匠は」
「実際はどやったか知らんが」
それでもというのだ。
「昔はな」
「違うかったのですね」
「そや、そしてな」
「忍者はですね」
「仙人や妖術使いとな」
「同じでしたね」
「そうした存在やったわ」
そうだったというのだ。
「今と違ってな」
「忍術が正しく伝わってなかったですね」
「誤解されてたな」
織田も否定しなかった。
「ほんまな」
「そうでしたか」
「けど自分等はちゃうか」
「はい、俺はです」
佐京は確かな声で答えた。
「実際にです」
「普通の忍者で」
「忍術もです」
それもというのだ。
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