金木犀の許嫁
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第三十八話 狭い道を歩いてその八
「この学校にいたら将来はね」
「まずグループの企業に行くね」
「何でもグループ、財閥だった時からね」
「社員さん、人材育てる為の学校だね」
「軍隊の学校とかを参考にして創設したらしいわ」
「流石に軍隊程厳しくないけれど」
「そうした学校だから」
そこに通っていると、というのだ。
「私達基本はね」
「グループの何処かの企業に就職するね」
「このままいったらね」
「そうだね、そうなったら」
佐京はそうなればと話した。
「俺達多分」
「海外も有り得るわ」
「日本の何処かでもね」
「可能性あるわ」
「そうだね」
「八条鉄道だってね」
この企業に就職してもというのだ。
「全国に路線あるから」
「日本の何処かにね」
「行くかわからないわ」
「北海道や鹿児島の可能性もあるね」
「そう、全国に路線あるから」
だからだというのだ。
「駅だってね」
「全国にあるから」
「それでね」
そうであるからだというのだ。
「何処に行くかわからないわよ」
「そうだね、そうだと」
佐京はここまで聞いて頷いた。
「夫婦善哉みたいに」
「別府に行ったりね」
「他の場所に行くかも知れないね」
「そうなるかも知れないわ」
実際にというのだ。
「そこはわからないわ」
「そうだね」
夜空のその言葉に頷いた。
「本当に」
「ええ、けれどね」
「けれど?」
「何処でも生きていけると思うわ」
夜空はこうも言った。
「人はね」
「何処でもなんだ」
「織田作さんの作品だとそうだから」
「何処でも生きてるんだね」
「そうなの」
まさにというのだ。
「それで転々として」
「最後に落ち着くんだね」
「何だかんだでね」
紆余曲折ありというのだ。
「それでね」
「そうした展開だから」
「いいのよ」
織田作之助の作品はというのだ。
「それで私達もね」
「そうしてだね」
「生きるかもね」
佐京に笑って話した。
「将来は」
「そうなんだね」
「そしてそれもね」
「いいかも知れないんだね」
「少なくとも悪くないと思うわ」
笑ってこうも話した。
「私はね」
「そうした生き方もだね」
「あっていいと思うわ」
「流れ流れてそしてほっと一息」
「そうした人生もね」
それもというのだ。
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