今度こそ、成し遂げてみせる【未完】
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戦姫絶唱シンフォギア 無印 After Story
さて、あの戦いから月日は経ち、今日で二週間を迎える。
あの戦いでの出来事は、世間には公開なんぞされていないのは当然。
まぁ、撮影機器なんぞ無いのだから撮影すら出来る筈もない。
月の巨大な欠片が地球へと落下してきた事には、人々の記憶に暫く残ることだろう。
フィーネ=櫻井了子というのも、二課を除き、知る者は居ない。
いや、案外いるかも知れないな。
知らんけど。若者風で言ってみた私。
私が月の欠片を破壊したことで、地球への被害は軽微。
月の欠片を破壊した直後に発生し、流星群となっていない破片群は月の輪となっている。
二度目であるが地球の被害は軽微なれど、世界は震撼した。無理はない。
世界は月の欠片落下事件を、【ルナアタック事件】と称した。
さて、今日で二週間を迎えるのは先の通りであるが、…実は今日、二課に新たな仲間が弦十郎と共にやって来たのだ。
そう、今日は…歓迎会だった。
歓迎会だった、とある通り、既に歓迎会は終えている。
二課職員、特に元含むシンフォギア装者一同は新たな仲間を盛大に歓迎。
新たな仲間が気になるか、だと?
はっはっはっ!…もの凄く見知った人物だ。
名を、雪音クリスという。
勿論、私も二課の者達と共に『二課へようこそ』を盛大にクリスを歓迎したぞ。
内心はその逆であるが。
いやまぁ、クリスの過去を弦十郎の口から話され、それを聞いた私は流石に良心を痛め、修正し内心でも歓迎の意を示した。
その場には私以外にも聞いていた者達がおり、学生組や奏は涙を流し、学生組の一人である響はクリスをギュッと抱きしめていた。
私も涙を流したいところではあったが、原作の【ヒルデ】は流している描写なんて無いし、なによりも【ヒルデ】に涙は似合わない。
【ヒルデ】となった私は涙を流す訳にはいかないのだ。
内心では涙を流しているがな。それもクールに。
あぁ、お労しいや、クリス。…【ヒルデ】にこの台詞は似合わないし、彼女には申し訳ないな。使っている描写なんて某漫画の、人外となった兄に対峙する老齢となった弟でしか登場しないだろう。
こうして歓迎会を終えた私は現在も自宅のリビングにあるソファーに座り、カップに淹れたコーヒーの匂いを楽しみながら、優雅に飲んでいた。
暫くし、淹れていたコーヒーの量が後一口分となった時、ふと思い出した。
管理局で実験が行われる事をだ。
今回の実験内容は確か〜……そうそう、確かそんな内容だったな。
さて、それでは向かうとしよう。
身支度を整えてからな。
あ、今更だが私、管理者ことオリジナルのコピーの1体、ヒルデコピーだ。宜しく。
では、行ってくる。
管理局による実験:①
秘密基地へと戻ったヒルデコピーは、出迎えをしてくれたコピーと共に実験区画へと足を運んでいた。
実験区画は色々あるが、使用目的次第で使う区画は異なる。
現在コピー達がいる実験区画は、コンクリートで出来たまっさらな平地では無い。
広さと地形を例えるとするならば、陸上自衛隊が所有する東富士演習場だ。
とはいえ、此処は地下で、永遠と続いている訳ではない。注意して行う必要があった。
「よし、挑戦だ」
彼女達コピーは何をしようとしているのか?
それは、空を飛べるかの、である。
それも、秘密道具なしで、カウンターサイドの能力で浮遊出来るかどうかの、である。
管理者ことヒルデは転生の際、女神から特典を貰い、その内の一つがカウンターサイドの異能力。
カウンターサイドゲームでは飛行能力が可能なカウンター能力者も存在する。
ノイズとの戦闘の際、ヒルデは今日に至るまで、カウンターサイドの異能力で空を浮遊することは一度たりともしなかった。
理由は勿論ある。
まず浮遊して飛行するのは他と比べて疲労が凄い。制空権を獲得し上から攻撃出来るのは優位だが、デメリットが先記述した通り疲労が凄い。
だがそれでも、ヒルデはしたかった。
折角、特典として貰ったのだ。使用しなければ宝の持ち腐れも同然ではあるが、何よりもゲームでしか出来ないことが、現実で可能となったのだ。
ヒルデは胸を踊らせた。
正確にはオリジナルの記憶があるコピーであるが。
そして遂に、今回担当するヒルデコピーは準備が整い飛び立とうとしており、既に戦術礼装姿になっていた。
どのくらいの時間を浮遊そして飛行が可能であるのか。
疲労はどういった感じか。
担当のコピーの周囲には、コピー達は万が一という事もあり落ちて来た場合を想定して、タケコプターを装着する他、飛び立とうとする地点より少し離れたところでは、固定式のワイヤーを構えるコピー。
固定式のワイヤーは人を空中で捉えることが可能なものだ。
その固定式のすぐ近くでは救護班が待機。
固定式の隣にはクリップボード左手にペンを右手に持った白衣姿のコピーが数人おり、記録する担当であることが伺えることだろう。
「準備は完全に整っている」
彼女は、実験担当のコピーはそう口にした直後、地面より浮き初めた。
地面より浮き始めてから少しして、上昇を初めた。
ある程度に高度を取った彼女は、その場で浮遊を暫し続ける。
高度は100である。
限界高度まで行ったヒルデは飛行する。秘密基地ということもあり、高度上限は低い。
飛行スピードは安全を考慮して、自転車が走るスピードで飛行する。
ただ単に上下したり、左右を反復横とびのように行き来したり。
カウンターサイドで登場する飛行するキャラクラーの飛行を真似たり。
複雑な機動をしたり。…etc。
其れ等をおよそ30分続ける。
その後、発射地点上空に戻りその場で1時間待機する。
その2つを2回程行う。
そして、2回目となりただ浮遊する際の時である。
ただ待つだけでは暇だと思ったのか、実験担当コピーは新聞を持ってくるよう言い、その後にタケコプターでやって来たコピーから受け取り、実験担当コピーは新聞を読み始める。
「何々、某寿司屋にてコップを…何だコイツ、迷惑極まる行為だな」
実験担当コピーが浮遊しつつ新聞を読んでいる中、下で待機していたコピーらは暇なのか、とあるコピーはパイプ椅子に座って読書をし、とある遅めのオヤツを美味しそうに食し、とあるトランプをする、それぞれが好きな事をしていた。
自由度が凄いコピー達だ。
実験担当のコピーが当然と落下してきたらどうするのd…あっ。
「…あっ」
実験担当コピーに異変が起きた。
そう、浮遊していたのだが不安定となって来ているのだ。
異変に気づいたのか、下で待機していたコピーらはステンバイする。
もう少しもう少し、と己の限界まで浮遊しようとする実験担当コピー。
下で待機するコピーらは、ハラハラドキドキとしながら見守っていた。
そして遂に限界が来たのか、「降りていいか?」と下に待機しているコピーらに問い、許可が下りた実験担当コピーは着地した。
着地した瞬間、救護班が駆け寄り、身体・体調に異常そして問題がないか救護班は確認。
白衣を着たコピーが、カキカキっとクリップボードに挟んだ紙に記入する。
こうして、浮遊・飛行の実験が終了したのだった…。
管理局による実験:②
次はカウンター能力者の武器を兵士(人型戦闘機械)と【もう一人】装備させノイズを倒すことが出来るか?
この実験は逆世界にある施設の一室で行われる
二度と収容違反を発生しないよう、教室サイズの収容室に居るノイズ計5体には、カチンカチンライトを照射し続ける処置を取っている。
常駐及び警備として、収容室内にはカチンカチンライトを照射する作業用人型アンドロイドを除き、多数の警備兵と戦術対策担当のコピー数名が配備されている。
そんな収容されているノイズの内の1体に、ひみつ道具の一つであるフエルミラーを白衣姿のコピーは使用した。
フエルミラーは姿見型の鏡をし、ボタンが一つあるひみつ道具だ。
フエルミラーの能力は、その鏡に写したものを本物と同じものとして複製することが可能で、生物をも複製可能で、人間とて例外ではない。
デメリットは当然ありフエルミラーの性質上、増やしたい物だけではなく使用者の姿も鏡に映り込む場合、そのまま一定時間を過ぎると、実体化した鏡人間が自我を持ち、此方の世界へ勝手に出て来てしまう。
此方側の世界へと侵入するのを防ぐには、備えられているボタンを押す必要がある。これにより、侵入防止となるのだ。
複製されたノイズはコンテナへと運ばれ、実験用の部屋に移動が完了した。
実験用の部屋は広く、戦車は勿論コンテナが優に入れる程の広さだ。
コンテナ内には視界を確保する為の照明が一つあるのみで、複製ノイズが何時カチンカチンライトの効果から開放されるかの危険性はあるだろうが、そこは大丈夫。
何故なら今もなおコンテナ内には、カチンカチンライトを照射し続けている人型アンドロイドがいるからだ。
とはいえ、油断は禁物。
もしもの時ということもあり、コンテナの周囲には数名の戦術対策担当コピーが目を光らせている。
そんな中で、オレンジ一色の服装の男はカタカタと歯を鳴らし、身体のほうも尋常じゃない程に震え怯えている。
「ひっ、い、嫌だ!入りたくねぇッ!!」
「それは許可出来ない、盗人」
ちなみにこの男、ヒルデの財布を盗ったひったくりである。
経緯として、ヒルデはポケットの分かりやすいところに財布を入れているからよく盗られるのだが、スリに会ったら必ずスリ返すように前世より意識している。
つまりは、自分の財布は取り返し、相手(盗人)の財布も盗り返すのだ。
盗人は気づき、財布を盗ったなと喚き散らし、ヒルデは路地裏へとわざと逃げると同時にコピーに連絡を取り、ヒルデを追いかけて来た盗人は、待ち受けていたヒルデとコピーらに包囲されてビビリ、今に至る。
「入らなけらばどうなるか、分かるな?」
盗人の背中にハンドガンを突きつけるコピー。
無論、脅しだ。それにハンドガンの外見は本物であるが、実際のところ本物ではなく、ただの玩具。
「ひ、ひっ!?わ、分かったっ、入る、入るからよっ…!!」
だがそれを知らぬ盗人からすれば、本物の銃なのだ。
いくら自分がコピーより渡された銃を持っているとはいえ、この人数さで立ち向かえる筈もなく、何よりも尋常じゃないほどに怖い。
なんてたって、同一人物が至るにいるのだから。
盗人はコンテナへと一歩ずつ一歩ずつ歩み、やがて完全にコンテナ内へと入った。
コンテナの扉は閉められる。
コンテナ内の状況観察は、コンテナ四方に設置されている監視カメラを通して行う。
コンテナ内に居るひったくり犯には、アルト小隊が一人【シロコ】が持つデザートイーグルを汗滲ませながらギュッと右手で握っていた。
「実験を始める」
実験はコンテナ内で行う。
まずはカチンカチンライトの電源を切り、ノイズへ照射することを止める。
「盗人、銃を構えろ」
『か、構えればいいんだな?』
「そうだ」
『わ、分かった…』
盗人はデザートイーグルを複製ノイズへと構えた。
数分が経ち、氷の音を発し亀裂を発しながら、本来の複製ノイズの姿が表れた。
瞬間ーーー複製ノイズに銃による攻撃が放たれる。
しかし、効果が見込めず。
ロボットはともかく能力者では無い人間も駄目だった。
やはり、カウンター能力者か。
それを監視カメラで確認した白衣を着たコピーが、クリップボードに挟まる紙にカキカキっと記入。
記入している間、盗人は複製ノイズより攻撃され炭素化された…かに思えた。
男は炭素化されなかった。【四次元若葉マーク】のおかげで。
【四次元若葉マーク】、これを付けた存在は四次元空間に実体が置かれて通常の空間の存在は触れることが出来ず、逆に張り付けた側も他の物に触れることが出来なくなる。
盗人にある四次元若葉マークは遠隔でのオン・オフが出来る改良型に当たる。
「盗人に告げる、出ていいぞ」
コンテナから出るよう指示を出し、コンテナの扉の施錠が解除された。
男は声高に叫びながらコンテナを出るが、直ぐに確保された。
カチンカチンライトを持ったコピーが、開けられた扉の前に着くやいなや、複製ノイズを照射。
それにより、複製ノイズの活動は停止。
その後、コピー達に再度拘束された男には今日の出来事を忘れるように【忘れろ草】を使用して、市街地の路地裏にて男を開放したことで、実験は終了したのであった。
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