ナースの告白
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第一章
ナースの告白
製薬会社の社員である加藤公輝は今は右足を骨折して入院している、上司や同僚が毎日見舞いに来てくれるが。
「やっぱり退屈だね」
「仕方ないですね」
担当のナースの御堂幸が応えた、加藤は面長で優しい顔立ちで黒髪をショートにしていて背は一七三程で痩せている。幸は茶色の髪の毛をボブにしていて明るくキラキラした目に小さな顔を持っている。背は一六〇位で胸がかなり大きい。
「入院されてるんですから。ですからお若いですから」
「治りが速くて」
「それで後遺症もないですから」
「いいんだめ、けれど若いっていっても」
加藤はベッドの中で上半身を起こした状態で幸に言った。
「僕二十七でアラサーだよ」
「それ言うと私二十五で四捨五入しますと」
「アラサー?」
「そうなりますよ」
加藤の傍に立って答えた。
「ですから二十七ですと」
「若いんだ」
「そうですよ」
こう言うのだった。
「本当に」
「変な理屈だね。けれどすぐに治ってね」
加藤は幸の言葉を受けてこう返した。
「後遺症がないならね」
「いいですね」
「それじゃあ今はゆっくりとね」
「退院の時を待ちますね」
「そうするよ」
こう言って実際にゆっくりすることにした、入院する間見舞いに感謝し本を読んで幸と話して過ごした。
その中ずっとある人が夜勤の時に入院している個室に人が来て自分の顔を見てすぐに去るのを感じていた、そのことは誰にも言わなかったが。
退院する時にだ、見送りに来た幸に言った。
「来てたよね」
「えっ、まさか気付いてまして?」
「毎晩だったよね」
自分の言葉に驚く幸に微笑んで言った。
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