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ボーイズ・バンド・スクリーム

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第5話 桃缶の受難

 
前書き
みなさん、明けましておめでとうございます!今年もお願いしマグロ!それでは第5話です!どうぞ! 

 
「はぁ…まだ顔が熱い。白石のばか」

桃香は自宅のソファでうつ伏せになって恥ずかしさに身悶えしながら白石とのやりとりを反芻していた。ちなみにルームメイトは外泊中だ。

(あいつ、落ち着いてる雰囲気だったけど…あんなに感情的になるなんてな。本気、なんだよなあ…きっと)

高校生の頃の瑞貴は桃香には大人びて見えた。しっかり者の学級委員長。面倒見がよくクラスメイトの相談に乗っていた。告白してくれた瑞貴の真剣な表情。桃香の路上ライブが見られなかったことを本気で悔しがる瑞貴の姿が頭から離れない。物思いに耽ってソファでしばらく横になっていたところで携帯が鳴る。すばるからラインが来たようだ。

「ねえねえっ、桃香さん!」

「なんだよ?置いて帰りやがって嘘つき野郎」

「ごめんなさい…それはそれとして桃香さん、瑞貴さんのライン知りたくない?」

「なんでお前が白石のライン知ってんだよ!しかも名前呼びまで…」

「ふふっ、どう?羨ましい?欲しい?」

「べ、別に。あいつのこと好きじゃないし」

「じゃあハッキリ告白断ればいいじゃん。元クラスメイトとしてしか見れませんって。それか桃香さんが男と同棲してるって言った時に誤解、解かなくていいじゃん!」

「自分のファンを邪険にはできないだろ…」

「嘘。本当は瑞貴さんの傷つく顔が見たくないんでしょ?少なくとも、どうでもいい人にする態度じゃないな、あれは」

「う、うるせーな!急に告白されてまともな返事ができるか!」

「恋なんて急なものじゃないの〜?分かった!じゃあ私がアタックしちゃおっかな〜?イケメンだし、白石大介の孫だし将来有望じゃない?」

「ダメだ!」

「ひゅう、ひゅ〜う!」

すばるは揶揄いながらも瑞貴のラインを貼り付けて来た。桃香は光の速さで彼を友達に追加する。

「すーばーるー!本気で怒るぞ!」

「ごめんってば。でもさ、気づいたら手遅れでしたってなる前に返事してあげなよね」

「分かってるよ…」

「本当かなあ〜?」

余計なお世話だ、と桃香は思った。驚きや戸惑いが大きく有耶無耶にしてしまったが、真摯な態度で告白してくれたからにはしっかりと返事をしたい。そう考えながら携帯を眺めているとラインの友達に瑞貴が増えていた。写真はアー写のものだろうか。ダブルのテーラードジャケットにデニム、革靴を合わせている。横を向いて立っている姿はモデルのようだ。

(白石ってこんなにカッコよかったか?告白された途端、意識しちまうなんて…)

瑞貴は高校時代、モテていた。見た目だけではなく人柄が良かったからだ。きっとファンからも人気なのだろう。瑞貴の隣に他の女性が並んで歩いている姿は容易に想像できた。虫の良い話だが誰かに盗られたくないという考えが頭をよぎってしまう。

(ばかだな、私は…あいつは誰のものでもないのに)

桃香は自重的な考えに浸りながらゆっくりと眠りについた。 
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