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仮面ライダー エターナルインフィニティ

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第八話 信の激突その七

 義仙の耳にも届く。その音楽を聴いてだった。
 義仙の動きが止まった。そうしてだ。こんなことを言いはじめた。
「この曲はまさか」
「わかったか?子守唄さ」
「子守唄、やはり」
「いつきの子守唄。この曲を聴かなかった日本人はいないよな」
「そうですね。この歌は」
 同じ曲を聴くだ。宗朗も言う。
「僕も昔母からよく」
「さあ、この曲を聴いてどう思う」
 響鬼はさらにだ。演奏を続けながら義仙に問う。
「尋常な気持ちではいられない筈さ」
「馬鹿な、私は」
「君は?」
「天草様の忠実な侍」
 こう言ってだ。あくまで拒もうとするのだった。その音楽を。
「決して。この様な歌で」
「心が動かないか」
「動かないというのかい?」
「その通り。この程度では」
「嘘だな」
 響鬼にはわかっていた。この辺りは人生経験からくるものだった。
「嘘を吐いたらいけないな」
「馬鹿な、私は決して」
「それはもう顔に出ている」
 実際にだ。義仙のその顔を見ての言葉である。
「君にもあった。幼い頃が」
「じゃあ柳生義仙もまた」
「そう、天草四郎にしても」
 彼女も同じだというのだ。隣で十兵衛達と戦う彼女もだ。
「同じく人間なんだ」
「妖人ではなくですか」
「妖しくても人間は人間さ」
 響鬼は宗朗にこう話す。
「そう、心は人間なんだよ」
「心がそうならですか」
「それならその心をどうするか」
 響鬼の太鼓は続く。
「そういうことだよ」
「思いきったやり方ですね」
「その思いきりが時として」
「状況を解決させるんですね」
「それは生きていればわかるさ」
 そうなるというのだ。
「だから。やるのさ」
「そういえば何か」
 宗朗は見た。その義仙を。
 彼女は動きを止めていた。攻撃できなくなっていた。それでだ。
 次第にだ。表情を和らげさせていき。
 構えを解いた。それでこんなことを言った。
「私は」
「!?明らかに変化が」
 宗朗もそれを見た。
「これは」
「そうか、地が出て来たんだな」
「本当に音楽でそうなるんですね」
「音楽は全ての母だからな」
「全てのですか」
「そう、だからこそ」
 それでだというのだ。
「効くんだよ」
「まさか。柳生義仙が」
「戦いは武器で行うだけじゃない」
 これも音撃戦士ならではの言葉だった。
「そして身体を攻めるだけじゃないんだ」
「心に訴えることもまた」
「それも戦いということさ」
「頭ではわかっていましたが」
 宗朗もだ。そういうことはわかっていたのだ。
 人間には心がありそれが最も重要だと。しかしそれでもだ。頭でわかっているだけだった。
 だが響鬼はそれをしてみせた。その音楽でだ。それを見てだ。
 彼はだ。思わずこの言葉を出した。
「見事です」
「おいおい、まだ終わってないぜ」
「まだですか」
「そうだよ、まだだよ」
 太鼓はまだ続いていた。 
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