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花を贈ること

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第二章

「その人の好きなお花調べて贈るわね」
「やっぱり贈るなら」
 満はそれならと答えた。
「やっぱりさ」
「人に喜んでもらいたくて」
「喜んでくれるならうんと喜んで欲しいから」
 だからだというのだ。
「調べて贈ってるの」
「そうしていって気遣いや気配りができる様になったからよ」
「俺好かれてるんだ」
「そうなのよ」
「何時の間にかそうなったんだ」
「お花を貰って嬉しくない人はいなくて」
 そうであってというのだ。
「贈るうちに贈る人の心もね」
「人に喜んでもらう様にやっていくからか」
「奇麗になるのよ」
「それで好かれるんだな」
「お花はそうしたものなのよ」
「贈られて悪い気はしなくて」
 嬉しくなってというのだ。
「贈る方もか」
「あの時は言わなかったけれどね」
「心が奇麗になるんだな」
「そうなのよ」
「お花は奇麗だけれど」
 満はそれでもと言った。
「見て奇麗なだけじゃないんだな」
「贈られる方も贈る方もね」
「嬉しくなって心が奇麗になる」
「そうしたものなのよ」
「そんな最高なものなんだな、そういえば」
 満はここでわかった顔になって言った。
「お祖父ちゃんもお祖母ちゃんも俺がチューリップ好きだから」
「調べて贈ってくれたのよ」
「そうだよな、今も好きだけれど」
「わざわざ調べてだったのよ」
「嬉しいな、じゃあ今度お祖父ちゃんとお祖母ちゃんにな」
「お花贈るわね」
「そうするよ」
 今も元気な二人にとだ、こう言ってだった。
 満は両親から祖父母の好きな花は二人共藤だと聞いた、そうして蜂にある藤を贈った。すると二人は心から有り難うと言って彼も笑顔になったのだった。


花を贈ること   完


                  2024・8・25 
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