金木犀の許嫁
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第三十一話 不倫をする位ならその十一
「そうだったかと」
「何かです」
真昼は淀殿についてこうも言った。
「あの人悲劇のヒロインって感じがしますね」
「落城ばかりでしたからね」
「生きていて」
「そして最期もですね」
「落城してですし」
「確かにそのことは不幸ですが」
それでもというのだ。
「その結末は自業自得でもあるかと」
「色々間違えたので」
「伊達政宗さんも言っていました」
独眼竜で知られる彼もというのだ。
「色々勝手、つまり間違いをしたので」
「ああなったとですか」
「自業自得とです」
その様にというのだ。
「言っていました」
「そうだったんですね」
「あの人は」
まさにというのだ。
「手紙で書いていました」
「あの人筆まめでしたね」
「何かありますと」
そうであるならというのだ。
「お手紙を書いていました」
「そうでしたね」
「その中で、です」
「淀殿さんにですか」
「そう書かれていました」
「ああなったのは自業自得だと」
「色々間違えたので」
その結果というのだ。
「そう書いていました、もともと政治に無縁の人でしたし」
「そこでいきなり政治の世界に入ったんですか」
「秀吉さんの側室さんであり」
淀殿はというのだ。
「秀頼さんを生みましたが」
「政治のことは、ですか」
「特にです」
「何も関わっていなくて」
「学んでもいなくて」
そうであってというのだ。
「いきなりその世界に入りまして。当然軍事もです」
「ご存知なかったですね」
「ですがあれこれと言う人で」
「何も知らないのに」
「それで失敗しました」
「豊臣家を滅ぼしてしまったんですね」
「幸い秀頼さんは生き残りましたが」
それでもというのだ。
「お家は滅びました」
「秀頼さんも表向きは自害になっていますし」
「残念な結果に終わりました」
「そうでしたね」
真昼も確かにと頷いた。
「あの人は」
「そうなったことは残念です」
「煙草のことは別として」
「そうです、そして」
幸雄はさらに話した。
「私達のご先祖もです」
「薩摩に落ち延びましたね」
「このことは何でもないですが」
「それでも豊臣家が滅んだことは残念ですね」
「淀殿が実質的な主になったことは」
豊臣家のというのだ、彼女の周りにも女性が多く豊臣家は女性が支配するいえになってしまっていたのだ。このこと自体は問題ではないが。
「政治、軍事を知らない人だったので」
「不幸なことになりましたね」
「そうです」
幸雄は残念そうに話した。
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