金木犀の許嫁
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第三十一話 不倫をする位ならその二
「有り難いことに」
「それが難波ですね」
「そして大阪ですね」
この街自体がというのだ。
「そうですね」
「そうですよね」
「ですから」
それでというのだ。
「これから食べるにしても」
「困らないですね」
「むしろ迷います」
そうなるというのだ。
「実際今もです」
「何を食べようかですね」
「考えていますね」
「そうですね」
「さて、何を食べるか」
幸雄は真昼達に微笑んで言った、それは何処か楽しさを感じている様な顔だった。見れば表情も明るい。
「これからです」
「考えますか」
「ここにいる五人で」
「家族で、ですね」
「家族ですか。家族で食べるなら」
それならとだ、幸雄は微笑んで話した。
「季節もそうですしお鍋でしょうか」
「お鍋食べますか」
「家族で囲んで」
そうしてというのだ。
「如何でしょうか」
「そうですか、お鍋ですか」
「はい、どうでしょうか」
「難波でお鍋といいますと」
白華はふと思って言った。
「蟹か河豚ですね」
「どちらもいけますよ」
幸雄は白華にも笑顔で話した。
「お金があります」
「蟹でも河豚でもですか」
「はい」
「そんなにお金がありますか」
「実は先日大きな仕事を成功させまして」
そうしてというのだ。
「特別ボーナスを戴きました」
「そのボーナスで、ですか」
「はい」
だからだというのだ。
「お金があります」
「そうですか」
「勿論すき焼きもです」
こちらの鍋もというのだ。
「他のお鍋も」
「お肉もですか」
「ハリハリ鍋でも」
「いや、ハリハリ鍋は流石に」
その鍋の名前を聞いてだ、白華は驚いた顔と声になって言い返した。
「ないです」
「高いですね」
「鯨ですから」
「鯨は今高いですね」
「ですから」
それでというのだ。
「とてもです」
「いいですか」
「遠慮します」
「そうですか、ではあらためて何を食べるか」
そのことをというのだ。
「考えていきますか」
「家族で食べるなら」
夜空はそれならとだ、幸雄に話した。
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