金木犀の許嫁
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第二十八話 二人一緒にその二
「私達のお家はここだから」
「他の人のお家に暮らすのはな」
「それはね」
「しないよ」
「そうですか」
「ここは真昼と夜空の実家でだよ」
秀樹は白華に笑顔で話した。
「佐京君と白華ちゃんは二人の家族だろ」
「だからいいんですか」
「二人はうちで暮らしてもな」
「そうですか」
「しかし私達の家はな」
「このお家だけですか」
「だからだよ、別荘があれば別だけれど」
秀樹は笑ってこうも言った。
「私達のお家はここだ」
「ここだけだからね」
朝華も言った。
「だからね」
「二人のお屋敷には住めないな」
「お泊りもね」
「そうですか、何かです」
ここまで聞いてだ、白華は言った。
「特別なものがありますね」
「お家にはね」
「そうですね」
朝華に応えた。
「確かに」
「そこがわかれば」
それならというのだ。
「また違うわよ」
「そうですか」
「そう、お家とはどんなものか」
「自分のお家とですね」
「そしてね」
そうであってというのだ。
「実家とはどんなものか」
「私達の実家は」
白華は朝華の言葉を聞いて言った。
「神戸のですね」
「お屋敷ね」
「猿飛家の」
「そうですね」
「そうよ」
朝華はまさにと答えた。
「そうなるわ」
「やっぱりそうですね」
「だからね」
「それで、ですね」
「白華君も佐京君もね」
「神戸のお家とですね」
「このお家がね」
この二つの家がというのだ。
「暮らせるね」
「そうしたお家ですね」
「そうなるのよ」
「そうなんですね」
「ええ、私にも実家があるから」
だからだというのだ。
「そちらではね」
「お泊り出来るんですね」
「暮らすこともね」
「いいんですね」
「家族ならね、逆にね」
「逆に?」
「家族でないならね」
そうであるならというのだ。
「幸雄さんはそう考えて」
「お泊りされなかったんですね」
「私達はそこまでしなくてもって思ったけれど」
「そうですね、幸雄さんは私達の家族です」
白華は神戸での自分の生活から話した。
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