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一人だけのレボリューション

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第三章

「アルバイトで」
「水泳して読書もして」
「メイクもして」
「それでなのね」
「変わったのね」
「自分でもそう思うわ、毎日続けていたら」 
 メイクや水泳、読書をというのだ。
「変わったわ、自己変革っていうか」
「それが出来てるのね」
「革命が」
「そうなのね」
「ええ、ただね」 
 友人達と大学の食堂でカレーを食べつつ話した、見れば他の友人達も食べているのはカレーである。
「革命って一気に変わるわね」
「ええ、政権ひっくり返してね」
「一から十まで変えるわね」
「それが革命ね」
「そうした感じよね」
「けれど私はね」
 自分はというのだ。
「一気にじゃなくてね」
「少しずつよね」
「聞いてたらね」
「そうよね」
「だからね」
 それでというのだ。
「そこはね」
「違うわね」
「考えてみたら」
「ちょっとね」
「別ね」
「フェビアン主義ね」
 この言葉を出したのだった。
「私は」
「ああ、あしながおじさんね」
「あの作品で出て来たわね」
「世の中を少しずつよくしていく」
「そうした考えよね」
「そっちね」
 こう言うのだった。
「私は」
「そうなのね」
「敢えて言うなら」
「そっちなのね」
「だって少しずつね」
 その様にというのだ。
「自分を変えていこうって考えて」
「実際にそうしてるから」
「それでなのね」
「あんたの場合革命っていうより」
「フェビアン主義ね」
「そうかもね、とはいってもあしながおじさんみたいに」
 今度はジョークを交えて話した。
「素敵なお金持ちの年上の男性とはね」
「会ってないわね」
「そうした人とは」
「美形でしかも援助してくれる」
「あれは最高のハッピーエンドだけれどね」
「そうした人はいないわ、彼氏自体いないし」
 そうだというのだ。
「そこはないわ、けれど自分を変えていきたいと思って」
「変わっていってるわね」
「私達から見てもね」
「あんた自身感じ取っているわね」
「実感してるわ、ただ今こうも思ったわ」
 友人達にカレーを食べつつ話した。
「フェビアン主義を知って自覚するなら」
「ああ、それも革命かもね」
「それを実践したなら」
「それならね」
「あしながおじさんだって主人公変わったし」
 彼女もというのだ。
「孤児院から大学に入って」
「ええ、別人みたいにね」
「大学時代の生活でね」
「色々学んでね」
「彼女はフェビアン主義だったけれど」 
 そのことを目指して実感していたがというのだ。
「そのことを目指して実感するなら」
「それは革命ね」
「その人の中で」
「そうなのね」
「そうかも知れないわね」
 笑顔で言ってそうしてだった。
 天音はカレーをさらに食べた、その食べ方も以前より姿勢がよいうえでのそれになっていた。
 やがて天音は美人として知られ知識も豊富で仕事が出来る女性と言われる様になった、どうしてそうなったかと聞かれるとフェビアン主義を知られる位の革命を果たしたからだと答えた、そして日々の努力習慣になったそれを続けていくのだった。


一人だけのレボリューション   完


                       2024・5・15 
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