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善悪逆転劇

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第二章

「悪になってであって」
「自分が直接やったことでなくても」
「そうなってね」
「苦い立場で終わったね」
「結末はね」
 それはというのだ。
「そうだったね」
「そうだね、本当にあの展開はね」
「驚くばかりだよ」
「アニメの方も」 
 今話しているそちらもというのだ。
「手塚治虫が関わっているよ」
「それも積極的にね」
「不眠不休の人だったから」
「それで漫画を描いて」
「アニメも制作していたからね」
「そうだったことは有名だからね」 
 新内はしみじみとした口調で述べた。
「あの人は」
「そう、それでね」
 そうであってというのだ。
「海のトリトンでもだよ」
「アニメの方に関わっていて」
「積極的にね」
「それでだね」
「もうね」
 それこそというのだ。
「アニメもあの人の考えが強く出て」
「原作とは別の展開になって」
「そしてね」
 そのうえでというのだ。
「あの結末だよ」
「そうだね」
「あの人の知性や思想が出て」
「ああなったね」
「うん、そこまで考えるとね」
「深い作品だね」
「海のトリトンもね」
 この作品もというのだ。
「実に」
「原作もそうで」
「アニメもだね」
「全くだね」
「いや、凄い作品だよ」
「また機会があれば観たいね」
「原作も読んで」
 そうしたことも話してだった。
 二人で海のトリトンから原作者の手塚治虫の話に入った、新内も桶谷もこの人物についてこう言った。
「ただ面白いだけじゃない」
「そこにそうしたどんでん返しも入れる」
「原作とアニメじゃ別展開にもして」
「善悪は逆転することもある」
「その考えも入れるなんてね」
「本当に凄い人だったよ」
 こう話したのだった、漫画を変えた異才について。


善悪逆転劇   完


                    2024・7・20 
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