高級レストランに入るのに必要なもの
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第二章
一家を彼等の席に案内してだった、そこに座った一家にコースを出した。夫婦は娘と共に食べつつ話した。
「周り凄いな」
「お店の中も立派だけれど」
「他のお客さんもな」
「如何にもセレブな感じで」
「俺達みたいな貧乏人来てもいいのかな」
「物凄く不安ね」
飲んで食べつつも思った、そしてだった。
最後のデザートまで食べて店を後にした、ここで夫婦は勘定を支払ったところで自分達を見せの中に案内した店員に尋ねた。
「あの、俺達が来てよかったのか」
「こんな凄いお店に」
「貧乏人が来てよかったのか」
「セレブが」
「どの様なお客様でもマナーを守って頂いて」
店員はにこりと笑って答えた、よく見れば執事を思わせる感じのダンディな整った顔立ちの青年である。
「お勘定を払って頂いたら」
「いいんですか」
「そうですか」
「当店に来て頂くのに必要なものは」
それはというと。
「その二つです」
「マナーとですね」
「お勘定を支払うことですね」
「今の世の中身分なぞないですね」
二人にこうも言うのだった。
「ではです」
「誰が来てもいいですか」
「このお店に」
「はい、ですからまたいらしたら」
この店にというのだ。
「宜しくお願いします」
「わかりました」
「それでは」
夫婦で頷いた、店員にそう言われて正直ほっとした。
そして嬉しく思って帰路についたが。
「また行こうね」
「あっ、ああ」
「そうしましょう」
二人でそれぞれ手をつないでいる娘に言われてだった。
二人は驚いた、だが咄嗟にこう言った。
「それじゃあね」
「またな」
「物凄くお金高いけれど」
「また行こうな」
「そうしようね」
娘は笑顔で言った、そんな娘の言葉を受けてだった。
二人はついつい顔を見合わせた、そしてお互い微笑んで言った。
「また行くか」
「そうしましょう」
こう話した、そして家に帰ったのだった。
高級レストランに入るのに必要なもの 完
2024・7・19
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