パソコンを人質にされて

　　　　　　　　　　　　　　　　パソコンを人質にされて
　大学生の津島太陽はこの時困っていた、幼馴染みの一つ下の後輩で彼女でもある工藤桜花が部屋に来てだった。
　いきなり彼のパソコンの前に来てだ、こんなことを言ったのだった。
「このパソコンに何が入ってますか？」
「僕の全てだよ」　
　津島はこう答えた、面長で細い目で整った細い眉に引き締まった唇に黒い短い髪の毛で一七五位の背の均整の取れたスタイルの青年だ。
「何かと入っているよ」
「ではこのパソコンにお水かけますね」
　桜花は笑って応えた、一五〇位の背で大きなあどけない目で細く奇麗なカーブを描いた目である。ピンクの唇でやや丸顔で茶色のやや癖のあるロングヘアである。小柄だが胸がかなり大きくピンクの半ズボンから白い脚が見えている。
「そうしますね」
「そんなことをしたら潰れるじゃないか」
「そうですよね、だったら質問に答えて下さい」
　桜花は微笑んで言った、見ればその手には水が入ったコップがある。
「さもないとこのコップからです」
「パソコンに水をかけるんだ」
「そうします」
　こう言うのだった。
「質問に答えてくれないと」
「いきなり家に来て何を言うかと思ったら」
　津島は桜花に呆れた顔で言った。
「何なんだよ」
「いいから質問に答えて下さい」
　桜花は今度は海を言わせぬ口調で言ってきた。
「いいですね」
「わかったよ、それで何なのかな」
「はい、先輩私のこと好きですか？」
　桜花は津島の目をじっと見て問うた。
「どうなんですか？」
「好きだから付き合ってるんじゃないか」
　これが津島の返事だった。
「そうじゃないか」
「そうですよね、だったら今度はです」
「今度は？」
「お願い聞いて下さい」
　質問の次はこう言うのだった。
「いいですか？」
「何かな」
「これまで私のこと工藤さんって呼んでましたね」
「うん、そうだけれど」
　津島は実際にそうなのでその通りだと答えた。
「僕は」
「それをです」
「変えろっていうんだ」
「はい、桜花って呼んで下さい」
　津島に真剣な顔で言ってきた。
「名前で」
「苗字じゃなくて」
「そうして下さい」
「それは彼女さんだからかな」
「そうです、だったら工藤さんじゃなくて」
　その呼び名でなくというのだ。
「それでお願いします」
「それじゃあ」
　そのお願いを聞いてだ、津島は答えた。
「これからは桜花さんって呼ぶね」
「ちゃん付けでお願いします」
「じゃあ桜花ちゃん」
「はい、お願いします」
「そこまではわかったけれど」
　津島は桜花が微笑んだのを見て微妙な顔になって彼女にあらためて言った。