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第二章

「長い間一緒だった」
「この生でも」
「それなら次の生も同じだ」
「二人共徳を積んだので次の生でもそうなら極楽で暮らすことになるが」
「二人は極楽でも一緒だ」
「そして六道の中で悟りを開くまで生きてもらおう」
 こう話してだった。
 仏達は夫婦をまた人間界に生まれ変わらせた、その時には二人は前世の記憶はなく名前も外見も殆ど違っていたが。
 夫の左手の甲には黒子が、妻の頭にはつむじが二つあった。二人はそれがどういった意味か気付くことも思い出すこともなく。
 夫婦で仲睦まじく暮らしていった、そして再び幸せな人生を過ごしたが。
 極楽道に至ってだ、彼等はようやくわかった。
「そうか、全ては御仏のお導きか」
「私達は二度の人生で一緒だったのね」
「それでこれまでもな」
「一緒でいたのね」
「ずっとな」
 夫は妻に言った。
「わし等は一緒なんだな」
「そうね、何度生まれ変わっても」
「それがわし等の輪廻の運命か」
「夫婦で共に暮らしていって」
「徳を積んでいくんだな、そして」
 夫はさらに言った。
「その輪廻はな」
「永遠なというと」
「何時か悟りを開いてな」
「出るものね」
「そうだな、その時もな」
「私達は一緒ね。三島由紀夫の小説を読んだけれど」
 妻はここでこのことを話した。
「前の前の人生、前の人生でも読んだけれど」
「あの人の作品か」
「豊穣の海ね、あのシリーズは何度生まれ変わっても二人の愛は続いたけれど」
「わし等もか」
「同じね、そしてね」
「やがてはな」
 夫はさらに言った。
「解脱してね」
「一緒に仏になろう」
「それからも一緒にいましょう」
「解脱すれば愛情とかいったものはなくなるそうだが」 
 愛別離苦からの離脱、それが仏教の目指すものだからだ。
「しかしな」
「それでもね」
「そうなってもな」
「私達は一緒にいましょう」
「何度生まれ変わっても解脱しても」
「ずっとね」
 極楽道で話した、そしてやがてだった。
 夫婦で解脱した、するとそこで夫婦そして絆のある者同士で解脱した者達が多いことがわかった。そこである仏に言われた。
「夫婦他の絆を大事にすることもな」
「大事なのですね」
「解脱するには」
「それは素晴らしい行いだからだ」
 それ故にというのだ。
「何度も夫婦でいて仲睦まじいならな」
「何時かはですね」
「解脱出来ますね」
「そうだ、これからもそうした者達が出る」
「わし等の様に徳を積んだうえで」
「夫婦それで絆を守ったままで」
「そうなる、それもまた解脱に近付くことなのだ」
 こう夫婦に言うのだった、そして彼等を仏の修行の場に案内した。そのうえで夫婦揃って修行を刺せたのだった。


エターナルリンク   完


                   2024・5・15 
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