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アクハトの弓

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第二章

「そなたは弓で岩を砕いたそうだな」
「はい」
 アナトは畏まって答えた。
「左様です」
「弓であらゆるものを壊せるか」
「狙いを外さず」
 アナトはそのうえでと述べた。
「そうしてみせます、またどんな弓もです」
「引けるか」
「左様です」
「ならだ」
 アクハトはアナトの言葉を受けてそれならと言った。
「私の弓を引いてそれが出来るか」
「あらゆるものを砕く」
「狙いを外さずな」
「出来ます」
 アナトは余裕の微笑みで答えた。
「私なら」
「神が造った特別な弓だが」
「それでもです」
「言ったな、では見せてみるのだ」
 アクハトはそれならと応じた、そしてだった。
 自分の弓を出してそのうえでアナトに渡した、そのうえで彼女に言った。
「街を出たすぐ傍に岩山があるが」
「その岩山をですね」
「私の弓を引いてだ」
 そうしてというのだ。
「そのうえでだ」
「砕くのですね」
「あの山には頂上にアンズーがいるが」
 アクハトはさらに言った。
「あの鳥もだ」
「射抜くのですね」
「風より速く雲より高く飛ぶが」
 アンズーはというのだ。
「射抜けるか」
「勿論です」
「言うな、では見せてみるのだ」
 アクハトは自信を見せるアナトにそれならと笑って応えた、そして自分の弓を貸して街に出てだった。
 岩山を前にした、アクハトも彼の周りの者達も誰もアナトが女神とも彼女が岩山を砕きアンズーを射抜くとは思わなかった、それどころか。
「神の弓を引けるか」
「幾らあの女が凄くとも」
「あの弓は神の弓だ」
「アクハト様しか引けないものだ」
 こう言うのだった。
 だがアナトはその弓をだった。
 軽々と引いた、これには誰もが驚いたがそれだけでなく。
 アナトは一撃で岩山を粉々にした、しかも。
 アンズーさえ射抜いた、そうしてみせたのだった。
「如何でしょうか」
「何と、どちらもしたか」
「ご覧の通りです」
 アクハトに笑って話した。 
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