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英雄忌憚

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死神と英雄

 気が付くと俺は飛び出していた。無意識だった。子供を救うとはいえ自ら命を捨てる選択をするとは···。
英雄が聞いてあきれる。だけど後悔はしていない。

 気が付くと薄暗い場所に佇んでいた。足場はドクロで埋め尽くされていた。「なんだここ···。地獄か?」
確か俺は子供を助けるために車道に飛び出てトラックに···。(詰まり俺は死んだのか?)
「はい。そのとうりです。」後ろから声がして振り向くと白髪の若い女がたっていた。(今俺口に出したか?)
「どうゆうことだ」「読んで字のごとく、ですよ。黒澤様」!!俺の名前を知っている?!何者だこの女。「私はあなた方の呼ぶ所の女神と言うものです」(···さっきからこいつもしかして)「はい。私は他者の思考を読み解くことができます」····成る程ね。にわかには信じがたいが、信じざるを得まい。「此処は地獄か?」
「?いえ。地獄では在りません。」(地獄じゃない?かといって極楽浄土には見えないが···)俺はチラリと女神の顔を見た。女神はさっしがついたのか笑みを浮かべた。「此処は地獄でも無ければ極楽と言うわけでもありません。かといって下界でもありません。」「···で、在れば此処は?」「黄泉比良坂です」よもつひらさか。
歴史で習ったっけか。「それで?女神様がわざわざ何のようだ?」「あなたは、地球に巣くう寄生虫たる人間を大量に葬りました。その褒美として新たな生をプレゼント致します」···成る程。よくある話だ。
地上のルールと天界のルールでは全く正しい行動の基準が違う。只、あまり気分のいいものではない。人を殺すのが正しいなんて。「ちなみに拒否権は?」「有りません」デスヨネー。「まあ異界への転生ですので此方でもバックアップ致します」と言って女神は指をならした。「今スキル<報酬と罰則>を解放しました。」又もや指をならした。するとか視界が狭まっていく。「それでは御武運を」
こうして、俺の異世界ライフはスタートした。

気が付くと森に寝転がっていた。手を木々でくり貫かれた空に掲げる。(···動く)次に飛び起きる。
「うし。とりま五体満足」にしても展開が急過ぎて、頭がまだ追い付いていない節がある。そもそもスキルってなんだ?とりあえず村でも目指すか。こうゆうのって、地図かそうゆうスキル持ちスタートじゃないのか?
 この森を探索して分かったことがある。まずこの世界は女神のいった通り地球ではない。地球には存在しない生態系ばかりだ。動物のような存在のモンスター(仮)を発見した。加えてモンスター(仮)にはレベルのようなものがあり俺もモンスター(仮)の討伐でレベルをあげられた。
 [レベルが5に達しました。加えてスキル解放条件クリア。新規スキル<召喚>を解放します。
概要を参照しますか?]YES NO
成る程。これが<報酬と罰則>のスキルか?
[はい。]
成る程。会話もできるか。後から見ることは可能か?
[はい。後からの参照も受け付けております]
よし。それじゃあ今はNOだ。

 どれくらい歩いただろうか。いつまでたっても村が見えない。もしかしてこの世界に人はいないとかゆ落ちじゃあるまいな。もしそうだとしたら。そりゃあの女神けじめをとってもらうしかあるまいて。
 その時後ろの草むらから物音が聞こえた。
····モンスター!?
しかし杞憂だった。飛び出してきたのは一人の女の子だった。長い杖を持ち、よく異世界物で見る魔法使いのような服を着ている。と言うか魔法使いじゃね。
その少女は此方に気づくと走ってきた。「助けてくださ~~~い!!じゃなくて逃げてくださ~~~~い!!」喧しいガキだな。「逃げる?なんで」「お···狼が!!」「狼?」自慢じゃないが訓練生時代よく狼と戦っていた。「狼位どうとゆうこともー」全て言い切る前に言葉を失った。忘れかけていたが、地球と此方じゃ生態系が全く違うのだ。そこには狼のからだ人の顔、そして肩からはひとの腕がはえていた。
俺は180度方向を変えて少女と同じ方向に駆け出した。「キッッショ!!なんだあれ!?何処が狼だ!人面犬だろ!ああれはもう!!」「なにいってるのか分かりません」「こっちのセリフだ!」俺はチラッと狼の方を見た
すると頭上にレベルが表示される。15か···。俺は5だからレベル差10。結構ピンチだな。「一か八か!!」
俺は狼の軌道に拳をおいた。だが少女が俺を庇うように押し飛ばした。結果二人揃って草むらに身を隠すことになった。「早まらないだ下さい!!」「別に死のうなんてー」俺はまたもや言葉を失った。少女の背中が大きく削れていたのだ。···もうだめか··!!なら俺だけでも逃げるべきか··。「····さい。」「え?」「逃げて····下さい···」····馬鹿か俺は。傲っていた。英雄と呼ばれて天狗になっていた。たかが人間の分際で。「おい」急に呼ばれて少女は少しこちらに目を向けた。だが俺が話しかけたのはそっちじゃない。「聞こえてんだろ?さっさと返事しろ。時間が無いんだ。女神」そう。先程のスキル入手のさい聞こえてきたあの声。あれは紛れもなくあの女神の声だった。[どうされました?黒澤様]「今すぐ治癒系統のスキルが欲しい」少女は困惑ぎみに此方を見ている。どうやら女神の声は他のひとには聞こえないらしい。[でしたらスキル報酬と罰則の使用を推薦します。]発動条件は?[心の中でも声に出してでも発すれば良いのです]何て?
 
未だ状況をつかめない少女は苦悶の表情を浮かべながらも困惑していた。「君、名前は?」「···アリス」そして俺はニッと笑って見せた。「そっか。じゃあアリス」瞬間先ほどから痛んでいた背筋が凍りついた。アリスは身震いした。(何···この人)「ちょっと待ってろ」その表情はいままに出会ったどの魔獣よりも恐ろしかった。 
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