私 あの人のこと 好きなのかも やっぱり好きなんだよ 昔からー
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第9章
9-1
5月の連休になって、峰ちゃんクラブの出店が2~4日まで日光駅前、そして5日は総合グラウンドでのフェスタと連続で、それに私はバイト先からも連続で入ってくれと頼まれていたので、今回は彼の部屋にお泊りするのは止めていたのだ。峰ちゃんクラブも朝6時出立だし、私だけバイト時間に間に合う様にと早い目に電車で引き上げて来て夜10時までと強行だったから。
2日目に中年の男の人が声を掛けてきて
「僕のこと 覚えているかなぁー」
「あっ ええ 中禅寺湖で・・・」
「そう 君のこと写真を撮らせてもらえないかと ねばったんだけどー」
「覚えていますよー あの辺りの写真を撮ってきたとか・・・」
「今日は あの厳しいお嬢さんはいないんのかな?」
「ええ 今日は お休みです」 朋子先輩のことなんだけど、この3日間は鬼怒川の勘治さんので店のほうを手伝うからって こっちの方は しのぶ先輩に任せていたのだ。どうも 勘治さんに強引に言われたみたいだった。
「今日もこの匂いに釣られてな それに 君が居るんじゃぁないかと期待したんだ やっぱり 写真はダメかい?」
「そーです NGでお願いします」
「そうか 残念だけど 君に会えただけでも幸せだよー ちょっと 色気も出てきたようだなー」
「そんなー お上手ですね ウソでも嬉しいワー」
「ふふっ 本当のことだよ 君は宇都宮大学の学生だろう? 2年か3年生 関西出身だから 調べれば きっと 名前までわかるよ」
「・・・ それは・・・ストーカーみたいですよ! 私は2年生で 奥浦真織っていいます 真ん中の真に織物の織です」
「そうか いい名前だ 僕はこういう者だよ」と、名刺を出してきた。
「浦和区・・・ 写真家 石畳伸蔵さん・・」
「まぁな 一応 何回か コンテストで賞をもらっているから いくらかは名前が通っていると思うよ」
「そうなんですか 有名な人なんだぁー」
「有名かどうかはなぁー とりあえず 写真で喰っていけている」
「そんな有名な方にお声を掛けていただいて光栄ですけど やっぱり写真を撮られるのはダメです でも そんなに遠く無いうちに お願いするかも・・・どこか 湖のほとりで・・人のこないところで・・・でも 公開しちゃーぁ嫌ですよ 石畳さんって 紳士みたいだからー 信用できます」
「ほぉー それは・・・ 光栄ですが なんか 含みがありそうですなー」
そして 5日の総合グラウンドでのフェスタ。隣には勘治さんが出してきていて、変わらずの髪型にハチマキをしていた。そして、手伝いには去年とは違うけど、脚が長くてスリムな女の子。多分 高校生なんだろうけど、不思議なのはいつもどこから連れて来るんだろう・・・。
「やぁ 真織 久し振り! ちっとは色っぽくなったかな もう お子様を卒業したか? まだ だったら俺がしてやるぞー やさしくな!」
「・・・けっこうです! ここの先輩じゃぁなかったら 話もしませんからね!」
「まぁ まぁ そー言うなって 可愛い顔が歪んでるぞー」
「あのねー いつも 先輩は可愛い女の子を連れてきていて 不思議なんですけどーぉ」
「ははっ 峰ちゃんクラブには真織という秘密兵器があるだろう? だから、こっちも負けないように 必死なんだよ」
「まさかー 手を出したとかー」
「おぉー 言うようになったのおー まさか 俺でもな そんな後ろに手が回るようなことはしないよ ビジネスだよ! こう見えても 真面目なんだよ だったら 一度 一緒に飯でも喰いに行って確かめてみるか? すごい レストランを用意するぜー」
「結構です! 危険な匂いがする それに・・・朋子先輩に叱られちゃう ねぇ 今日は朋子先輩は?」
「あぁ この数日 無理してもらってなー でも 仕事 終わってからも たっぷり悦ばせてやったからーなっ! 今日は 草津の店の様子を見に行ってもらった」
「・・・もぉー そんな風に言わないでください! 朋子先輩のことも・・・ 草津? そっちもお店出したんですか?」と、言いながらも悦ばせてって言葉に、私は想像してしまって、顔が火照っているのがわかっていた。
「あぁ 若いのにやらせてみてるんだ まぁ ボチボチかな だから トモに確認に行ってもらった あいつは いい女だよ! 頭も良いしー 俺は信頼してるんだ」
「ふ~ん 勘治さん そっちも やり手なんだ」
「そっちもの もって どっちのことだよー 真織は 俺のこと 思い違いしているぞ! まぁ そのうち 何かの足しにはなるさー 一応 先輩後輩の仲じゃぁないか」
「そーなんですけど 朋子先輩のこと 大切にしてくださいね 私は、あの人のこと憧れている部分もあるんです」
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